防空システムの無線機6台、活用されず約4年間倉庫に 検査院指摘

2025/10/23 17:00 

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 航空自衛隊が運用する防空システム「パトリオット」の車載用無線機について会計検査院が調べたところ、6台が一度も活用されず、約4年間にわたって倉庫に保管されていたことが判明した。一方、同じ型の無線機を6台必要としていた部隊では、配備されない状態が続いていた。

 検査院は「パトリオットの迅速な展開に必要な無線機が有効活用されていない事態は、適切でない」と指摘した。

 パトリオットは他国の弾道ミサイル攻撃などを想定し、空自の高射部隊などに配備されている。地対空誘導弾をはじめ、レーダーや射撃管制、発射機などの装置で構成。迅速に展開するため、装置車両は専用の無線機を搭載している。

 検査院は今回、高射部隊用「2型」と呼ばれる車載用の無線機について、2020年度末までに調達された236台(計7億5048万円相当)の活用状況を調べた。

 その結果、北部高射群の二つの部隊で計6台(計1908万円相当)が配備から約4年間、訓練を含む任務に一度も活用されていなかった。一方、中部高射群の部隊などが同じ型の無線機を計6台必要としていたものの、配備されないまま任務に当たっていた。

 車両整備に伴う搭載の取りやめや配備先の変更といった調整が行われる中で、航空幕僚監部が配備・搭載状況を的確に把握できていなかったことが主な原因とみられる。

 検査院の指摘を踏まえ空幕は今年5月、北部高射群の部隊から中部高射群の部隊などに「2型」無線機6台を配備し直すとともに、配備・搭載に関する情報共有体制の整備など、改善を図ったという。【山田豊】

毎日新聞

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