毎日新聞、米AIパープレキシティに抗議 記事無断利用「著作権侵害」 共同、産経も

2025/12/01 14:00 

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 ニュースサイトに配信した記事を無断で利用されたとして、毎日新聞社は1日、米国の生成AI(人工知能)事業者「Perplexity(パープレキシティ)」に抗議書を送付した。パープレキシティは運営する生成AI検索サービスで、無断取得した記事を元に利用者への回答を生成しているとし、著作権侵害に当たると主張している。共同通信、産経新聞の2社も同日、同様の抗議書を送付した。

 ◇共同通信加盟48社は抗議声明

 パープレキシティを巡っては、読売、朝日、日経の新聞3社が損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こしている。毎日など3社も無断利用の即時停止などを求めており、提訴も視野に入れる。共同通信に加盟する地方紙など48社も1日に抗議の声明を発表し、生成AI事業者による許諾なしの記事利用に対するメディアの厳しい姿勢が鮮明となった。

 毎日新聞社は抗議書で、パープレキシティは遅くとも2024年7月から25年8月までの間、自動プログラムを用いて毎日新聞デジタルから少なくとも記事数十万本を許諾なく収集。無断取得した記事のデータに基づき検索サービスで回答を生成したとしている。

 記事の無断取得と回答を生成する行為は、著作権法が保護する複製権と公衆送信権の侵害に当たると主張。回答の中には引用元として毎日新聞の社名などを表示しながら、記事内容と異なる虚偽表示もあるとし、不正競争防止法違反(虚偽事実の告知・流布)にも該当するとしている。

 パープレキシティは米オープンAIの出身者らが22年に設立。米アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏や米エヌビディアが出資し、カリフォルニアに本社がある。世界で月間1500万人以上が利用し、国内ではソフトバンクが提携して契約者に生成AI検索サービスを提供している。

 ロイター通信によると、パープレキシティは米国で係争中のメディアとの訴訟で「検索機能は著作権法で保護されていない公開された事実情報に基づく」と主張している。

 ◇毎日新聞社社長室広報ユニット「違法行為、容認できず」

 生成AI事業者による相次ぐ違法行為は、当社のみならず日本新聞協会が業界全体の深刻な課題として警鐘を鳴らしてきました。記者たちが膨大な時間と労力をかけて取材・編集した記事に対する著作権侵害は断じて容認できません。一連の違法行為を放置すれば、事実を正確に報じることを使命とする報道機関への信頼と経済的基盤が破壊されてしまいます。違法行為を繰り返す事業者には速やかな対応を求めるとともに、報道機関の役割や生成AIを巡るルールのあり方について引き続き訴えていきます。

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