非正規春闘実行委、賃上げ10%以上を要求 26年春闘方針

2025/12/03 05:15 

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 非正規労働者の賃上げに取り組んでいる個人加盟の労働組合などで作る「非正規春闘実行委員会」は2日、東京都千代田区の厚生労働省で記者会見を開き、10%以上の賃上げ(ベースアップ)などを求めるとした2026年の春闘方針を公表した。実行委では「最低賃金の大きな引き上げも実質賃金の引き上げにはつながっていない」として、春闘で生活できる賃金を求めるとしている。また、「誰でも、1人でも参加できる春闘を目指す」と非正規春闘への参加を呼びかけた。

 非正規春闘は、雇用が不安定なことなどから春闘で賃上げを求めることに困難がつきまとう非正規労働者の賃上げを支援しようと、個人加盟労組を中心に非正規労働者を組織する労働組合が中心となり23年に始まった。26年春闘には、現時点で33の労組や産別組合が参加を表明しているという。

 26年春闘では、①10%以上の賃上げ(ベースアップ)②シフトカットを許さない総額人件費の引き上げ③全国一律最低賃金1500円の即時実現などを求めている。②の要求は、賃上げを得ても、企業側が総額人件費は変わらないようにシフトを減らし労働者の働く時間を減らすケースが増えたための対応。賃上げになったのに収入が減ったり、人が減らされたことで仕事量が増えたりすることがないよう求める。

 会見では多様な現場で働く非正規労働者が現状を報告した。清掃の仕事を4年続ける女性は「3Kと呼ばれる仕事をしている。社会で必要な仕事であり誇りを持って働いている。けれど、8時間働いてまともに食べられない賃金では労働をおとしめられているように感じる。賃金上げろと声を上げたい」と訴えた。英会話学校で働く外国人労働者の労組委員長は「20年前と今、月収は25万円で変わらない。物価が上がる中、賃金だけが上がらない。家庭を持つことが非現実的になっている」と賃上げを求めた。

 実行委員会メンバーで首都圏青年ユニオンの尾林哲矢委員長は「春闘はごく一部の労働者の者ではない。誰でも1人でも参加できる『開かれた春闘』を目指して、参加の間口を開いていきたい」と呼び掛けた。

 実行委では、労働組合のない職場で働く非正規労働者が賃上げ交渉に参加できるよう、集中的な電話による労働相談を実施する。ホットラインは3日午後5~8時でフリーダイヤル(0120・333・774)へ。【東海林智】

毎日新聞

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