「紀州のドン・ファン」死亡 検察側、1審無罪の破棄主張 控訴審

2025/12/08 17:07 

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 「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77歳)に覚醒剤を飲ませて殺害したとして、殺人罪と覚醒剤取締法違反に問われた元妻、須藤早貴被告(29)の控訴審第1回公判が8日、大阪高裁(村越一浩裁判長)で開かれ、検察側が1審の無罪判決の破棄を主張し、即日結審した。

 ◇判決は来年3月に

 検察側は1審で無期懲役を求刑しており、控訴審でも「(1審判決には)重大な事実誤認がある」と述べた。控訴審判決は2026年3月23日に言い渡される。

 被告は2018年5月24日、和歌山県田辺市の野崎さん宅で、覚醒剤を摂取させて野崎さんを殺害したとして起訴された。野崎さんの死亡の約3カ月前に、財産目的で結婚していた。

 1審・和歌山地裁判決(24年12月)は、被告が事件前月に密売人から「覚醒剤のような物」を受け取っていたと言及。野崎さんが覚醒剤を摂取した可能性がある時間帯は被告と2人きりで、自殺や第三者による殺人の可能性はなく、野崎さんの死亡で多額の資産を相続できる被告には殺害の動機があったことは認めた。

 しかし、被告が入手したのは覚醒剤とは言い切れず、財産目当てで結婚したことから野崎さんを殺害したことは推認できない判断。野崎さんが誤って覚醒剤を過剰摂取した可能性は否定できず、被告を犯人とするのは「合理的疑いが残る」と判断していた。【国本ようこ】

毎日新聞

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