九州最大規模か 熊本・諏訪原遺跡で石棺墓の公開調査

2025/12/08 18:32 

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 熊本県和水町の諏訪原(すわのはら)遺跡で8日、発掘された大型の石棺墓(幅約60センチ、長さ約220センチ)の公開調査があった。クレーン車を使って3枚(1枚約250キロ)の石の蓋を外し、赤色顔料や「線刻」と呼ばれる線状の装飾を確認。元県職員らによる調査メンバーは九州最大規模の石棺墓とみて内部をさらに詳しく調べる。

 調査メンバーなどによると、諏訪原遺跡は菊池川左岸の台地上に位置する弥生時代後期を中心とした大規模集落跡。昭和40年代の九州自動車道建設に伴う発掘調査で、竪穴式住居跡が数多く見つかった。鉄器を製造した工房跡なども確認されている。

 石棺墓は、2023年11月に農作業中の土地所有者が偶然発見した。3枚の安山岩の巨石を蓋石とし、棺の壁面は加工された凝灰岩などを用いている。大きさは国指定特別史跡の「吉野ケ里遺跡」(佐賀県神埼市・吉野ケ里町)で23年に見つかった石棺墓を上回るといい、調査メンバーは一帯を治めた有力者の墓とみている。

 調査する元熊本県教委文化課課長補佐の松本健郎さん(78)によると、石棺墓の形式などから古墳時代前期ごろに造られたものとみられる。石棺墓に盗掘された痕跡はなく、人骨の有無や副葬品などの発掘調査を進めて13日午後に現地説明会を開催する予定だ。

 松本さんは「菊池川沿いは全国的にも装飾古墳の多い地域で、今回の石棺墓はそれらの少し前の時代のものと考えられる。これからの内部調査に期待したい」と語った。【野呂賢治】

毎日新聞

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