将棋・福間香奈女流6冠「第2子諦めざるを得ず」 出産規定で会見

2025/12/10 11:12 

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 日本将棋連盟に女流タイトル戦の妊娠・出産に関する規定の変更を求める要望書兼提案書を送った福間香奈清麗(33)が10日、大阪市北区の大阪弁護士会館で記者会見した。福間清麗は「今の規定では2人目の妊娠を諦めなければならない。非常に苦しい状況です」と述べ、タイトル戦の日程が対局者の出産前後の一定期間と重なる場合、対局者を変更するとした将棋連盟の規定の即時運用停止と見直しを訴えた。

 会見には代理人の松田真紀弁護士ら5人の女性弁護士も同席。松田弁護士は現行規定は出産するかどうかを自分で決めるリプロダクティブ権を制約しているとして、「人権上も極めて重大な問題を含んでいる」と指摘した。

 福間清麗は2024年8月に第1子の妊娠を公表し、年内にあったタイトル戦の日程変更を要望。しかし、挑戦者として挑んだ白玲戦と女流王将戦は日程通りに開催され、福間清麗はいずれも後半、妊娠に伴う体調不良による不戦敗を続けて終了し、タイトル奪取はならなかった。同年12月に長男を出産した。

 この問題を受け、将棋連盟は「他の棋戦を含めた年間スケジュールが決まっており、やむを得ず不戦敗の判断をした」と説明していた。その後、25年4月に明文化した規定を策定し、対局日程と、出産前後計14週(産前6週、産後8週)が一部でも重なる場合は母体への影響を考慮して対局者を変更するとした。さらに、次期棋戦での特別シードなど、救済措置を検討している。

 しかし現在、タイトル戦とタイトル戦との間に14週間の期間が空いている日程はなく、女流全8タイトルのうち6冠を保持する福間清麗が改善を求めた。

 将棋連盟に提出した要望書によると、①出産時期と対局日程が重なる場合、対局者の希望に応じて日程調整や場所の変更を行う②日程が重なる場合でも、体調や医師の意見に応じて出場を可能にする――ことを提案している。また、不参加となった場合の救済措置として、産休中にタイトル保持者の地位が事実上降格することがないようにすることなどを求めている。

 26年1月から2度目の棋士編入試験に挑む福間清麗は、子どもの成長がモチベーションになっていると明かしており、会見では「議論が活性化し、実りあるものになることを切に希望します」と理解を求めた。【新土居仁昌】

毎日新聞

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