茨城・古河の老健施設連続殺人 26年7月の判決を予定 水戸地裁

2025/12/10 21:53 

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 2020年に茨城県古河市の介護老人保健施設で入所者の高齢男性2人が殺害された事件の裁判員裁判が10日、水戸地裁(山崎威裁判長)で始まった。殺人などの罪に問われた元施設職員、赤間恵美被告(39)は起訴内容を否認。公判では施設職員など140人の証人尋問が行われ、26年7月7日の判決まで60回開かれる。

 地裁では開廷前、17席の傍聴席に対し99人が整理券を求め並んだ。倍率は約6倍だった。

 午前10時前、上下黒のスーツに身を包んだ赤間被告は髪を下ろし、白のマスクを付けて法廷に入った。開廷前に弁護士の一人から「緊張してますか」と問われると一度うなずき、「深呼吸して」という言葉には「はい、ありがとうございます」と応じた。

 起訴状などによると、赤間被告は古河市の「けやきの舎(いえ)」で20年5月30日、入所していた鈴木喜作さん(当時84歳)の体内にシリンジ(注射器の筒)で空気を注入して殺害し、7月6日にも同様の手口で吉田節次さん(当時76歳)を殺害したとしている。死因はいずれも、血管に空気が入ったことによる急性循環不全だったとされる。

 山崎裁判長から認否を問われると、赤間被告ははっきりとした口調で「私は殺害しておりません」と否認。冒頭陳述では発言する検察官を真っすぐ見つめ、時折資料に目を落とす場面もあった。

 公判はまず鈴木さんの事件について26年2月24日まで審理する。吉田さんの事件の審理を5月21日まで行った後に量刑などに移る。

 公判には施設職員や医師、警察官ら140人の証人が出廷。鈴木さんが死亡した日に出勤していた施設職員は89人で、その大半が証人として出廷する。【井手一樹、斉藤瞳】

毎日新聞

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