広島市営基町アパート、4階建ての16棟解体へ 戦後復興の象徴

2025/12/10 21:39 

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 戦後復興期に建てられた広島市中区の市営住宅「基町アパート」について、市は10日の市議会建設委員会で、全20棟のうち特に老朽化が進む中層の16棟を廃止する方針を示した。入居者が別の市営住宅に転居後に解体する方針。アパートが建っているのは市内の一等地にある国有地約2万平方メートルで、跡地活用は決まっていない。

 解体予定の16棟は、サッカーJ1・サンフレッチェ広島の本拠地「エディオンピースウイング広島」のすぐ北側に建つ。いずれも鉄筋コンクリート造の4階建てで計438戸。1956~64年度に整備された。

 アパートが建つ一帯は元軍用地。原爆で焼け野原となり、当初は都市公園として整備される計画だったが、原爆で家を失った人たちが生活するバラックなどが建ち並んだ。そのため、市と県によって大規模な中高層のアパート群が建設された。

 13棟あった県営住宅は17年度までに取り壊された。全20棟ある市営住宅のうち、1棟は耐震性の不足が明らかになり、新たに14階建ての2棟の建設が進められている。

 市によると、市営住宅は約1万5000戸あり、老朽化などを理由に2035年までに600戸を廃止する計画。【安徳祐】

毎日新聞

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