DNA型鑑定に不自然な点で東京高裁が差し戻し 性的暴行事件で有罪

2025/12/11 20:44 

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 女性に性的暴行したとして強制性交致傷罪に問われた米国籍の男性被告(33)の控訴審判決で、東京高裁(家令和典裁判長)は11日、懲役8年とした裁判員裁判による1審・千葉地裁判決(2024年7月)を破棄し、審理を差し戻した。有罪の根拠となった大学教授のDNA型鑑定に2審で不自然な点が見つかり、改めて1審で裁判員による検討が必要と判断した。弁護側は無罪を言い渡すべきだとして上告する方針。

 判決によると、被告は18年7月に千葉県市川市の駐車場で20代女性に性的暴行をし、けがをさせたとして起訴された。千葉地裁の職権で女性の体に残された付着物のDNA型鑑定が実施され、被告の型と矛盾しないことから1審は有罪とした。しかし、2審で同じ試料から被告でも被害者でもない第三者の型も検出されていたことが発覚した。

 弁護側は「鑑定人の大学教授が第三者の型を削除して捏造(ねつぞう)した」と主張。これに対して、検察側は「削除は専門的知見に基づく正当なものだ」とする教授の説明をまとめた報告書を高裁に提出した。

 判決は、大学教授が合理的な理由なく被告と異なるDNA型を削除した可能性と、第三者の型が何らかの原因で誤って検出された可能性にそれぞれ言及。DNA型の削除が間違った対応ではなかったのか、第三者の型がどのような証拠として位置づけられるかを1審で検討すべきだと結論づけた。【安達恒太郎】

毎日新聞

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