佐川氏のメール「ない」 片山財務相が説明、自動消去か 森友文書
学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る財務省の公文書改ざん問題で、関連文書の開示を進めている片山さつき財務相は17日、元財務省理財局長で改ざんを主導した佐川宣寿氏のメールは残されていないと明らかにした。財務省はこの日、5回目として計3万4727ページを開示した。
文書の公開を求めているのは、財務省近畿財務局職員だった赤木俊夫さん(当時54歳)の妻雅子さん(54)。赤木さんは2018年に改ざんを苦に自殺。雅子さんは改ざんの詳しい経緯の解明を目指している。
関連文書は全体で約17万ページと膨大になることから、雅子さん側は10月、改ざんに関わった佐川氏らのメールを優先的に開示するよう財務省に申し入れていた。
これに対し、片山氏はこの日の記者会見で「今後開示するデータを探索した結果、佐川氏が取りまとめて保存していたメールは確認されなかった」と述べた。雅子さんの代理人弁護士はメールがない理由について、財務省側からサーバーの容量や日数で自動的に消去される仕組みだったとする説明を受けたという。
報道各社の取材に応じた雅子さんは「日本の中枢を担う財務省でメールが消えるなんて許されるのか。何かしら、まだ残っていると思う」と不信感をあらわにした。
一方、この日の開示では学園への格安での国有地売却が発覚し、公文書が改ざんされていた17年3月から6月の文書が明らかにされた。近畿財務局職員らが交わしたメールなどが中心で、佐川氏が発信したメールは確認できなかった。
開示されたメールによると、改ざんを巡って赤木さんが財務省側から「既に財務局から(会計)検査院に提出しているものがあれば、修正等は非常に難しいので事実関係の確認をお願いします」と促されていた。この2日後には赤木さんが財務省側に「既に意思決定した調書を修正することには疑問が残る」とつづった記録もあった。
この時期は格安売却の経緯に不信が集まり、国会が紛糾していた。佐川氏の部下に当たる当時の理財局総務課長が野党への対応について、「局長の答弁ラインからはみ出さないように」と近畿財務局幹部らにくぎを刺すメールが明らかにされた。
財務省はこれまで、2カ月おきに文書を雅子さん側に渡しており、今回で計約8万9000ページとなった。次回は来年1月後半から2月前半を予定しているという。【山下貴史、藤河匠、砂押健太】
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