防犯カメラ、情報管理…事業者は負担増 日本版DBSは広がるか
子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認する「日本版DBS」を柱とするこども性暴力防止法を巡り、こども家庭庁の有識者検討会は22日、運用ガイドライン案を大筋で了承した。2026年12月の法施行に向けて、犯歴確認に加え、性暴力につながりうる「不適切な行為」の明確化や防犯カメラの設置推奨などを盛り込み、初犯防止対策も整備した。
学習塾や放課後児童クラブ、芸能事務所などの民間事業者は、国から認定を受けた場合のみ、こども性暴力防止法の対象になる。子どもを通わせる保護者にとって安心材料になるが、事業者にとっては、情報管理や子どもへの対応など、業務量が増える可能性が高く、メリットばかりではない。しかし、事業者が増えなければ、制度の「穴」になりかねない。どこまで広がるのだろうか。
学習塾「森塾」を運営する「スプリックス」(東京都渋谷区)は、「子どもたちの安心安全を守るために取り組むべきだ」として、認定を受ける準備を進めている。これまでも、死角を作らない教室のレイアウトや、防犯カメラの設置などを進めてきた。
堀貴司執行役員は「認定事業者に通わせたほうが保護者も安心できる。ガイドライン公表後、不足部分があれば整え、すでに対策を取っている部分は引き続き徹底したい」と話す。
一方、認定を受けるかを迷っている愛知県内にある放課後児童クラブの所長(43)は、「制度を把握しきれるかが不安」と明かす。「職員が1人の時間帯をできるだけ作らない」「個室での面談では子どもをドアの近くに座らせる」などの配慮は行う予定だ。一方、「現場では、やりすぎではないか、という声がある」と疑問も投げかける。
多くの子どもが継続して参加するものに、スポーツの団体がある。関係者は「任意団体が多く、どれだけが認定基準を満たすことができるのかは疑問だ」と指摘する。特に、繰り返すと配置転換などの対象になり得る「不適切な行為」は、「競技によっても身体接触の差があり、線引きはかなり難しい」と頭を悩ませる。今後ガイドラインを確認し、対策を考えていくという。【近森歌音】
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