丹羽宇一郎さん死去 86歳 元伊藤忠商事社長、民間初の駐中国大使

2026/01/08 19:51 

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 伊藤忠商事の社長や会長を務め、旧民主党政権で駐中国大使に就いた丹羽宇一郎(にわ・ういちろう)さんが2025年12月24日、老衰のため亡くなった。86歳だった。1月5日に家族葬を営んだ。

 名古屋市出身。1962年に名古屋大法学部を卒業し、伊藤忠商事に入社。主に食料部門を歩み、98年に社長に就任した。不動産投資などで膨らんだ不良資産の損失を2000年3月期決算で一括処理し、翌01年3月期には一転して最高益を出し、業績をV字回復させた。04年から10年まで会長を務め、経済財政諮問会議の民間メンバーや地方分権改革推進委員会の委員長など政府の役職も歴任した。

 「脱官僚」を旗印にした旧民主党政権だった10年には、民間出身者としては戦後初の駐中国大使に登用された。

 しかし、12年に沖縄県・尖閣諸島を巡る問題で両国関係は悪化。英紙とのインタビューで東京都による尖閣の土地購入計画を批判し、「領土問題は存在しない」との政府見解と食い違ったため、交代論が強まった。12年11月の退任記者会見では「双方が意思疎通を維持・強化し、自制と責任の大切さを自覚すべきだ」と対話を訴えた。

 日中友好への情熱は消えることなく、日本の大学院で学ぶ中国人留学生向けの奨学金制度を続けた。「政府ができないなら民間がやらなければ」との信念のもと、15年には日中友好協会会長に就任した(24年に退任)。それまでに培った人脈を生かし、平和に関する価値観を日中が共有する必要性を訴え続けた。

毎日新聞

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