「苦しんだ時間返して」 B型肝炎の再々発型患者、国に対応求める
集団予防接種が原因でB型肝炎ウイルスに感染し、慢性肝炎を発症した患者7人が国に損害賠償を求めた訴訟は15日、福岡高裁(河合芳光裁判長)で和解が成立した。発症と沈静化を繰り返す「再々発型」の患者が救済されやすくなる初の和解内容。全国の裁判所で適用できるようにするための基本合意も国と原告団・弁護団の間で結ばれた。係争中の原告のうち対象患者は約160人に上る見通し。
B型肝炎の発症と沈静化を繰り返す「再々発型」患者を救済する内容で国と弁護団が合意したことを受け、これまで症状に苦しんできた北九州市小倉南区の男性(68)はほっとする一方、「苦しい思いをした時間を返してほしい」と訴えた。
28歳の時に勤務先の製鉄関連会社で献血後、感染が判明。治療のために毎月のように有給休暇を取得すると職場から白い目で見られ、平日でも休みが取りやすい仕事への転職を余儀なくされた。入院時には同室の肝硬変患者が亡くなるのを見て精神安定剤が手放せなくなった。偏見を気にして家族以外には病名も伝えられなかった。
治療を経て治ったと思っていたが、その7年後の1994年に再発。2004年に沈静化したが、翌05年に再々発した。症状が重い日は会社を早退し、連日のように炎症を抑える注射を打つ時期もあった。
10年ほど前に病院で見たB型肝炎のポスターをきっかけに弁護団に連絡し、国の予防接種による感染だと気づいた。20年に国を提訴。だが、再発時を起算点とすると除斥期間を過ぎていた。給付金は満額支給されないと弁護士から聞かされ、個別の訴訟で争い続けた。「既に相当な治療費を使った。今後もお金がかかる。減額は納得できなかった」。現在も毎月約1万円の医療費が必要という。
男性は「国の政策で人生を狂わされた。国には今後、患者の気持ちになって対応してほしい」と求めた。【森永亨】
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