障害あっても自力滑走「テトラスキー」 北海道・旭川で導入進む
障害が重くても自ら操作して滑走できる「テトラスキー」のアジア初の導入が進む北海道旭川市で、重度の障害がある人が初めて試乗した。諦めていた自力滑降が実現し、「最高です」などと声を弾ませていた。
◇個別の障害に合わせ安全確保
テトラスキーは米ユタ大学が開発。重度の障害があってもジョイスティックやマウスピースなどでスキー板を自分で操作し滑走できる最新のパラスポーツ用具。欧米で導入が始まり、国際大会も開かれている。
用具として販売する形での普及ではなく、人によって異なる障害の程度や様態に合わせて安全性を確保するため、用具を調整したり、乗るのを補助したりするスタッフや滑降時に後ろからサポートするインストラクターの養成といったソフト面の整備を重視する。
旭川市ではNPO法人「カムイ大雪バリアフリー研究所」や旭川パラスポーツ協議会など、全国でも珍しい医産学民連携によるパラスポーツ支援の枠組みが確立している点が評価され、導入地に選ばれた。今後は研修だけでなく、子ども用のテトラスキー製造にも着手する。
◇「人生でこんな素晴らしいことが…」
今回、テトラスキーを開発したユタ大のジェフリー・P・ローゼンブルース教授らスタッフが5日に旭川入りし、13日まで操作方法の説明やインストラクターの研修に当たった。9日には今津寛介市長も試乗。最終日の13日は、旭川市のスキー場「カムイスキーリンクス」で研修を受けてきた人がインストラクター役を務め、障害で自力滑走ができない女性2人がテトラスキーで滑走した。
長沼町の山崎亮子さん(54)は十数年前から手足などの筋力が衰える症状が目立つようになった。病名は不明で、現在は車椅子生活で呼吸を助ける器具もつける。スキーを最後に滑ったのは15年前で、滑るのは諦めていたが、旭川市の福祉用具製造・販売会社「COM泉屋」の泉谷昌洋社長(49)に誘われ、近く治療のため入院を予定していたが、二つ返事で参加を決めた。
体への負担を軽減するため頭などを固定され、手のひらで操作する装置などの扱い方の説明を緊張気味に聞いていた山崎さんだったが、インストラクター役の旭川市立大の谷口広明准教授との息も次第に合うようになり、2度の滑走を無事に終えた。ローゼンブルース教授も「次のステップに行ける」と笑顔を見せていた。
山崎さんは「思った以上にスピードを感じた。こんな素晴らしいことが自分の人生に起きるなんて。若い方たちにも重い障害があってもスポーツを諦めないでいい時代になったぞと伝えたい」と感激と興奮で声を震わせていた。【横田信行】
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