三宅島噴火の被災者支えて20年 ふるさとネットが活動休止
2000年の東京・三宅島噴火災害を巡り、05年の帰島開始後も被災者の支援や情報提供に取り組んできたボランティア組織「三宅島ふるさと再生ネットワーク」(ふるさとネット)が昨年末で活動を休止した。三宅島は昭和期にほぼ20年ごとに噴火を繰り返してきたが、近年は落ち着いた状態が続いており、活動の中心を担ってきた会長の佐藤就之(しゅうし)さん(90)が加齢によって身動きを取りにくくなったため、区切りを付けることにした。
三宅島では、島の中央部にそびえる雄山(おやま)が00年7月に噴火し、9月に全島避難指示で全島民の約3800人が島外に避難した。その後も山頂付近から大量の火山ガスが噴出し、4年5カ月後の05年2月に避難指示が解除された。ただ、島東部は火山ガスの濃度が高く、居住制限された地域が残った。帰島が始まったものの、05年の人口は約2400人に減少。二酸化硫黄を含む火山ガスへの不安や高齢化などから、1000人ほどが帰れなかった。
バラバラに避難した島民が帰島後も分離され、孤立の深まりが懸念されたことを受け、ふるさとネットが05年4月に発足。佐藤さんが会長に就いた。活動の柱として、①帰島できなかった島民への支援②島民の生活再建・再生③「三宅島新報」の発行、ホームページによる情報の発信――の三つを据えた。
三宅島新報は、向上高校(神奈川県伊勢原市)の新聞委員会の卒業生らが編集に当たった。06年1月~20年1月に計75号を出して休刊し、21年6月には全号をまとめた合本を発行した。佐藤さんは「被災者自身が声を上げて課題を発信する努力をしないと埋もれてしまい、本当の再生ができない。結果的に三宅島を知らせるための窓口の役割を果たせた」と自負する。
被災後の暮らしを支える「衣食住」のうち、佐藤さんがこれまでの活動を踏まえて重要性を強調するのが「住」だ。1995年の阪神大震災をきっかけにできた被災者生活再建支援金は、現在では最大300万円が支給されるようになった。しかし、三宅島では住宅の補修に1000万円ほどかかり、帰島に困難をきたした人が相次いだという。佐藤さんは災害時の住宅支援の一層の拡充を望む。
三宅島の居住地区での規制は15年9月までに全て解除されたが、昨年11月末現在の人口は2142人で、噴火前から4割以上減った。それでも、板橋区の自宅と、古里である三宅島北部の持ち家を行き来してきた佐藤さんは、自然が再生していく様子を実感している。噴火で灰色に染まった場所が深い緑に包まれるようになった。「自然は破壊をするけれども再生もする。自然が再生する力に励まされ、助けられて三宅の生活は成り立っている」と述懐し、希望を見いだしている。
ふるさとネットの活動休止後もホームページのデータは残し、必要に応じて更新する。【木村健二】
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