玄海原発運転差し止め訴訟「不合理認められず」 福岡高裁、控訴棄却
九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の安全審査は不十分で違法だとして、福岡県や佐賀県の住民が国や九電を相手取り、設置変更許可の取り消しと運転差し止めを求めた二つの訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は20日、両請求とも退けた2021年3月の1審・佐賀地裁判決を支持し、住民側の控訴を棄却した。久留島群一裁判長は「審査基準に不合理な点は認められず、審査判断にも看過し難い過誤、欠落は認められない」と指摘した。
原告は、原発反対の市民団体「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」(佐賀市)を中心とした福岡、佐賀などの住民計約300人。
主な争点は、九電が耐震設計の目安として設定した「基準地震動」(想定される最大の地震の揺れ)の妥当性や、約130キロ離れた阿蘇山(熊本県)の噴火リスクへの対策だった。
住民側は、九電が基準地震動の策定に用いた計算式は過去の地震データの平均値のみに基づいていると主張。原子力規制委員会の内規「審査ガイド」は数値が上に振れる「ばらつき」も考慮するよう求めているのに、守られていないと訴えていた。
これに対し高裁判決は1審同様、基準地震動は最新の科学的、技術的知見に基づいて設定されている上、不確かな部分も踏まえて震源断層を保守的に設定するなど「ばらつき」も考慮しており、過小に評価されたとはいえないと判断した。
住民側は阿蘇山が「破局的噴火」をすれば火砕流が玄海原発まで及ぶ危険性があるとも主張したが、高裁は「少なくとも原発の運用期間中、噴火発生の可能性が十分小さいとした評価に不合理な点はない」とした1審の判断を追認し、住民側の訴えをいずれも退けた。
原子力規制委員会は「引き続き、新規制基準への適合性審査を厳格に進め、適切な規制を行う」、九電は「主張が裁判所に認められたと考えている」とのコメントをそれぞれ発表した。【森永亨】
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