史上最長の現役 記録多数の「1分将棋の神様」 加藤一二三さん死去

2026/01/22 16:55 

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 史上最長の62年にわたって将棋棋士として活躍し、多くのテレビ番組に出演して「ひふみん」の愛称で親しまれた加藤一二三(かとう・ひふみ)さんが22日、肺炎のため死去した。86歳。通夜は27日午後7時半、葬儀は28日午後1時半、東京都千代田区麴町6の5の1のカトリック麴町聖イグナチオ教会。喪主は長男順一(じゅんいち)さん。

 1940年、福岡県稲築村(現・嘉麻市)生まれ。剱持松二九段門下。54年に四段昇段を果たし、初の中学生棋士となった。14歳7カ月での四段昇段は藤井聡太名人(23)に破られるまで史上最年少記録だった。順位戦を一番下のC級2組から一番上のA級までノンストップで駆け上がり、「神武以来の天才」と称された。

 A級2期目で名人に挑戦したが、大山康晴十五世名人に1勝4敗で敗退。その後もタイトル戦で大山十五世名人の高い壁に阻まれ続け、69年に十段戦で初タイトルを手にした。82年の名人戦で中原誠十六世名人に挑戦し、4勝3敗1持将棋2千日手の「十番勝負」の末に制して悲願の名人となった。長考派だったが、持ち時間がなくなって秒読みに追い込まれても強さを発揮したことから「1分将棋の神様」の異名もある。

 順位戦は62歳までA級に在籍。A級から遠ざかっても闘志は衰えず、C級2組から陥落して史上最年長の77歳5カ月まで現役を続けた。引退前年の2016年12月の竜王戦ではデビュー戦を迎えた藤井名人と対戦し、過去最大の年齢差(62歳6カ月)の対局として話題を集めた。タイトル獲得は王将1期など計8期。通算成績は1324勝1180敗。勝ち数は羽生善治九段、大山十五世名人、谷川浩司十七世名人に次ぐ4位。通算最多敗数、最年少名人挑戦(20歳3カ月)、最年長勝利(77歳0カ月)など、数々の記録を残した。22年、文化功労者に選ばれた。

 24年にはJAグループの月刊誌「家の光」で65年間にわたって詰め将棋を出題し続けたことが「同一雑誌におけるボードゲームパズル作者としての最長キャリア」としてギネス世界記録に認定された。

 テレビのクイズ番組やバラエティー番組では、道化役を買って出るサービス精神の持ち主で、屈託のない笑顔と飾り気のない語り口で人気を集めた。現役引退後も、イベントや講演会、本の出版など精力的に活動していた。

毎日新聞

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