核禁条約発効5年 日本政府の参加求める学生が衆院選に思うこと
核兵器の開発、保有、使用を全面禁止する核兵器禁止条約の発効から22日で5年となった。米国やロシアなどの核保有国は反対の立場で、日本を含め「核の傘」に依存する国も参加していない。この日、広島市の原爆ドーム前であった記念行事に出席した広島市立大3年の大内由紀子さん(21)は「日本政府は核禁条約に向き合い、核軍縮に貢献してほしい」と訴えた。
大内さんは広島県福山市出身。小学4年の時に広島市の原爆資料館を訪れ、放射線の影響で髪が抜けた自分と同じくらいの年の子どもの写真に衝撃を受けた。平和問題に関心を持ち、核兵器廃絶を目指して署名活動などをする「高校生平和大使」も務めた。
高校3年だった2022年6月、核禁条約第1回締約国会議に合わせて市民団体とともにオーストリアを訪れた。関連行事のワークショップでカナダやドイツの若者から、「日本が核禁条約に参加していないことをどう思うか」「政府に何か働きかけはしているか」など厳しい質問を受けた。「被爆国の日本に住む自分が核禁条約に真剣に向き合わなくていいのか」と考えるきっかけになったという。
大学入学直後の23年4月、高校生平和大使のOB・OGで核兵器廃絶を目指す学生団体「Connect Hiroshima」を設立し、代表に就いた。同11~12月の核禁条約第2回締約国会議の前には日本政府のオブザーバー参加を求めて街頭で署名を呼び掛け、オンラインも含めて集まった約4万3000筆を外務省に提出した。
それでも政府はオブザーバー参加に背を向け続けている。大内さんは「唯一の戦争被爆国として被爆者支援の実績を積み上げて得た知見を参加国と共有することは、世界の核被害者救済につながる」と参加の意義を訴える。
第2回締約国会議も渡米し、傍聴した。休憩時間には広島の被爆者から聞いた被爆体験を各国の外交官たちに紹介する機会にも恵まれた。
現地の盛り上がりに刺激を受けたが、帰国後、大学の友人には核禁条約を知らない人やオブザーバー参加の意味がわからない人が多く、認知度の低さを痛感した。以降は学生団体のメンバーと各地の集会で講演し、核禁条約が生まれた背景や意義を説明している。
衆院選が27日、公示される。現政権になって非核三原則の見直し検討が取り沙汰されたり、官邸関係者から「日本は核保有すべきだ」との発言が出たりして、大内さんは強い危機感を抱く。「核禁条約のオブザーバー参加を含め、核問題にしっかりと向き合っている候補者を選びたい」と話した。【井村陸】
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