「僕の矜持が許さない」 KADOKAWA前会長、有罪判決に憤り
「冤罪(えんざい)だと一貫して申し上げてきたが、残念ながら声は届かなかった」。出版大手「KADOKAWA」(東京都千代田区)前会長の角川歴彦(つぐひこ)被告(82)は記者会見を開き、自身の主張を全面的に退け、有罪とした東京地裁判決に憤った。
判決は、東京オリンピック・パラリンピックの公式ガイドブック製作などの権利を得ることによる会社のブランド力向上が事件の動機と指摘した。角川前会長はこの点について「そんないやしいことはしない。僕の矜持(きょうじ)が許さない。60年の出版人生を自分から手放すようなことはしない」と主張した。その上で「判決を糧として戦っていく。僕の戦いは続く」と控訴審への決意を語った。
主任弁護人の弘中惇一郎弁護士は「部下との共謀を裏付けるような客観的な資料は一切なく、無罪が出ると期待していた。検察の主張を無理につなげた判決で、到底納得できない」と述べた。
2022年9月に東京地検特捜部に逮捕された角川前会長は、一貫して無罪を主張し、東京拘置所から保釈されたのは約7カ月後だった。一方で、判決が前会長と贈賄を共謀したと認定した部下2人は、捜査段階で容疑を認め、起訴直後に保釈された。部下2人は公判でも前会長に不利な証言をした。
弁護団は特捜部に迎合した2人の証言には信用性がないと主張したが、判決は採用しなかった。弁護団の一員で元裁判官の村山浩昭弁護士は「証言を裏付ける客観的な証拠はない」と主張。起訴内容を否認すれば身柄拘束が長引く「人質司法」の影響が考慮されていないと訴えた。
前会長は7カ月に及ぶ身柄拘束で苦痛を受けたとして、国に2億2000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしている。訴訟では自身は「人質司法」の被害者だと訴えている。
一方、国側は「起訴内容を否認しているというだけで、保釈がなかなか認められないということはない」と反論している。【安元久美子】
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