「不利益看過しがたい」旧警備業法に違憲判断、国の賠償責任は認めず
成年後見制度の利用者は警備員として働けないとした旧警備業法の規定は憲法違反だとして、元警備員の男性が国に100万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷は18日、就業制限規定は違憲との初判断を示した。裁判官15人全員が職業選択の自由を定めた憲法22条と、法の下の平等を定めた14条に反していたと判断した。ただし、立法措置に関する国の賠償責任は否定した。
最高裁が個別の法令を違憲と判断するのは史上14例目。裁判長の今崎幸彦長官は「一律に業務から排除される不利益は看過しがたい」と述べた。検察官出身の三浦守裁判官ら5人は国会には規定の改廃を怠った立法不作為があるとし、国に賠償を命じるべきだとする反対意見を付けた。
成年後見は、判断能力が不十分な人に代わり、財産管理や契約を支援する制度。警備業法の就業制限規定は1982年に設けられたが、2019年の法改正で約180の法律から一括で削除されている。
原告は軽度の知的障害がある岐阜県在住の30代男性。工事現場などで交通誘導に従事していたが、17年3月に制度を利用して保佐人を付けると会社から雇用契約の終了を告げられた。
大法廷は、男性が退職した時期までに、労働者について障害を理由に差別を禁止すべきだとの考えは確立していたと指摘。規定は職業の自由に対する強力な制限で、公共の利益のために必要な合理的措置とは言えなくなっていたとした。ただし、障害者や成年後見を巡る法整備が徐々に進んだ点を踏まえ、国会の立法不作為までは認めなかった。
1審・岐阜地裁(21年10月)、2審・名古屋高裁(22年11月)は規定を違憲とし、国に賠償(1審10万円、2審50万円)を命じていた。【三上健太郎】
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