博物館の収蔵品「廃棄」可能に 年度内に文化庁の基準変更の見通し

2026/02/18 17:14 

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 文化庁は、博物館法に基づく「博物館の設置及び運営上の望ましい基準」の改正案を審議する有識者による「博物館ワーキンググループ」の会合を24日に開催すると発表した。改正案には、各地の博物館が収容能力を超える資料を抱えている状況を踏まえ、初めて「廃棄」を含めた資料管理を求める内容が盛り込まれた。審議は最終段階に入っており、年度内に改正される見通し。

 基準は博物館法で策定が定められている。2022年の博物館法の大規模改正を受け、ワーキンググループは昨年から改正案を審議してきた。

 ワーキンググループは博物館が収容能力を超える資料を抱えている「収蔵庫問題」の対応も議論。改正案には「(博物館は)資料の再評価に基づく交換、譲渡、貸与、返却、廃棄等を含めた資料管理の在り方について検討するよう努める」との一文が加えられた。従来の基準は資料を手放す方策を明示していなかった。

 収蔵庫問題は、特に民具を多く収集してきた博物館で深刻な状況にある。民具は日常生活で使われてきた道具や器具の総称で、具体的には荷車やろうそく台などの生活用具に加え、もんぺやすげがさといった衣服、足踏み脱穀機やふるいなどの農具など幅広い。形状や素材は地域性が強い。

 各地の博物館では、高度経済成長期に失われつつあった民具を積極的に集めたり、大量に持ち込まれたりした。一部の館では整理や調査研究がされずに置かれ、収蔵庫を圧迫している。

 問題が広く知られるきっかけは、民具を主体とした奈良県立民俗博物館が24年、収蔵品が増えすぎたことなどを理由に展示室の公開を一時休止したことだった。県は検討委員会で民具の収集と保存方針の策定を目指しており、廃棄の前提となる「除籍」のマニュアル案が検討されるなどしている。

 一方、民具研究者で組織する「日本民具学会」は改正案に反発。学会は2月1日、文化庁長官に提出した要望書で「民具は、地域の人々の生活の歴史、自然環境との関わり、技術の継承を具体的に物語る、かけがえのない文化遺産」と訴えた。その上で「博物館設置者に対し、廃棄や処分を事実上是認・推奨するメッセージとして受け取られかねない」として「廃棄」の文言の削除を求めた。

 文化庁は改正案について一般から意見を募るパブリックコメントを昨年11月~今年1月に行っており、24日のワーキンググループで審議は終了する見通し。

 収蔵庫問題に詳しい金山喜昭・法政大名誉教授は「望ましい基準に『廃棄』が明文化されるのは大きな問題がある。仮に廃棄が最終手段として検討される場合でも厳格な手続きが必要だ。他館への移管や元所有者や地域への返還、教育的な利用などを徹底的に探り、廃棄資料の記録の完全な保存、市民や元所有者らへの説明などが求められる」と話している。【高島博之】

毎日新聞

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