違法工作物も…メガソーラー計画 ワイン名産地で条例制定へ 北海道

2026/03/03 16:00 

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 ワイン用ブドウ畑が広がる北海道三笠市の一角で、大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の建設計画が浮上している。昨秋には計画地で違法な工作物が見つかり、道と市が行政指導する事態に。“ぶどうの里づくり”を掲げる三笠市は、市が指定する区域内の農地などで太陽光発電施設建設を禁じる条例の制定を急いでいる。

 「市民の安全で安心な生活環境と、良好な自然環境の保全に寄与する条例の制定に向け取り組みを進めてまいります」

 3月市議会初日の3日。西城賢策市長は市政執行方針で決意を述べた。

 市によると、2024年の市議会で規制の必要性が指摘され、市は条例制定の作業を進めてきた。

 今年2月に示された条例案は、住民と事業者間のトラブル防止を目的としている。規制対象は、発電出力10キロワット以上の施設とした。

 農業振興地域整備法に基づき、市が指定する農業振興地域内の農地などを設置禁止区域とする。禁止区域外でも事業者に「住民の同意書の提出」などを義務づけ、条例に違反した場合は過料5万円以上の罰則を設ける。

 市は5日までパブリックコメントを受け付け、早ければ今議会に提出する。

 市ホームページなどによると、市内の土壌は太古に海だったことからミネラル分を含む。気候も昼夜の寒暖差が大きいことから、醸造用のブドウの甘みを引き出すのに適しているとされる。市内には3軒のワイナリーがあり、周辺で約5社がワイン用ブドウ畑を所有している。

 「ぶどうの里づくり計画」を掲げる市は、17年からワインフェスティバルを開催。産業振興と地域活性化のため、市民向けワイン講座の開催や首都圏でのプロモーション、新品種の試験栽培などにも取り組んでいる。

 市内でメガソーラー建設計画が発覚したのは昨年11月。ワイナリーが集まる達布(たっぷ)山付近の農地で、地盤調査用のくいが許可なく複数打ち込まれているのが見つかった。

 関係者によると、計画地は約80ヘクタールで、事業者は既に地権者と土地売買契約を締結。工期は26年5月開始と説明していた。事業者は昨年12月、道と市の行政指導を受けて違法な工作物を撤去したが、事業からの撤退は表明していない。

 周辺のワイナリー経営者やブドウ農家ら14人は昨年11月、景観や生態系などに「重大な懸念がある」として、市長宛てに意見書を提出。条例の制定を求めた。市内の40代の農家男性は「代々継がれてきた大切な農地を守らないといけない」と、早期の条例成立・施行を求めた。

 道によると、太陽光発電施設の設置を規制する条例は、長沼町や月形町など少なくとも道内29市町村で制定されている。【伊藤遥】

毎日新聞

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