打率アップのコツは足の動き? 脳のタイミング調整、静岡大検証
野球選手は打撃でタイミングを計る際、足の動作を工夫していることが多い。大谷翔平選手の「すり足打法」や巨人で活躍した王貞治さんの「一本足打法」もそうだ。脳内における、こうした足の補足的な動作を利用した効果的なタイミングの計り方を、静岡大情報学部の宮崎真教授(神経科学)らの研究チームが明らかにした。
宮崎教授によると、脳には球速やコースなど、投げられた球のおおよその出方を経験に基づいて学習し、効率よく打撃できるよう次のタイミングを計算する仕組みがある。実際の競技では、緩急を使い分ける投手を相手に、球種を区別して対処する必要がある。研究チームは、緩急どちらかに狙い球を絞って足の補足的な動作を行うと、効果的なタイミングの計算につながるのではないかと考え、実験によって検証した。
実験では、光が等間隔で3回点滅する画面を用意。点滅の間隔は、速球を模した「速いリズム」とスローボールを模した「遅いリズム」があり、それぞれ約0・4~1・1秒、1・2~1・8秒の範囲内でランダムに現れるようにした。
実験には18~34歳の男女が参加。参加者は1、2回目の点滅を見た後、3回目のタイミングに合わせてボタンを利き手で押すよう指示された。グループの一つの20人は利き手のみを使い、もう一つのグループ20人は「速いリズム」か「遅いリズム」のいずれかに対し、補足的に逆側の足も動かすようにした。このタイミング課題を、1人当たり計640回繰り返した。
すると、一方のリズムを狙って足も動かしたグループは、利き手だけの場合よりも3回目のタイミングを適切に捉えられていた。この結果から、足の補足動作が「速い球」「遅い球」という情報を脳内で整理するための切り替えスイッチとして機能している可能性が示唆された。
実験を担当した修士課程1年の高木陸さんは「狙い球に合わせやすい足の動作を練習で見つけることで、打率アップにつながる可能性がある。観戦の際も、打者の足を見て選手たちの工夫を発見してみて」と話した。研究チームは今後、仮想現実(VR)を使ったスポーツに近い形や、実際のスポーツの場面で、補足動作の有効性の検証を進めるという。
成果は2月18日付の米科学誌セルの系列誌「アイサイエンス」に掲載された。【荒木涼子】
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