那須雪崩事故、2教諭の実刑回避 裁判長「1審の量刑は不合理」

2026/03/04 20:49 

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 栃木県那須町で2017年、部活動で登山講習会に参加していた県立大田原高の生徒ら8人が死亡した雪崩事故で、業務上過失致死傷罪に問われた当時の教諭3人に対し東京高裁は4日、いずれも禁錮2年の実刑とした1審・宇都宮地裁判決(24年5月)を破棄する判決を言い渡した。雪崩事故の予見可能性を認めて3被告全員を有罪としたものの、うち2人は刑の執行を猶予し実刑を回避した。

 田村政喜裁判長は「3人の役割や過失の大きさなどから、2人を実刑にしたのは不合理だ」と述べた。1審は「3人の刑事責任の軽重に格段の違いはない」と判断していた。

 判決を受けたのは、講習会の現場責任者だった猪瀬修一(59)、いずれも現場を引率した菅又久雄(57)、渡辺浩典(63)の3被告。菅又被告は禁錮2年のままで、猪瀬被告と渡辺被告を禁錮2年、執行猶予5年とした。猪瀬、菅又両被告は起訴休職中で、渡辺被告は事故後に退職している。無罪主張に対し求刑はいずれも禁錮4年だった。

 講習会は栃木県高校体育連盟が主催し、県内7高校から生徒と教諭計約50人が参加。17年3月27日朝、スキー場周辺で深雪歩行訓練中に発生した雪崩に巻き込まれた生徒7人と教諭1人の計8人が死亡し、40人が重軽傷を負った。3被告はこのうち、菅又、渡辺両被告が引率していた二つの班に参加した8人を死亡させ、5人を負傷させた罪に問われた。

 主な争点は雪崩事故が予見できたかだった。高裁判決は1審同様に、現場一帯で前日から少なくとも積雪が30センチに及び、訓練開始前の時点で生徒らが雪崩に巻き込まれる危険な場所に入り込めば、死傷事故が起きることを具体的に予見できたと認定した。

 3被告には訓練を安全な場所に限るなど事故を回避する義務を怠った共同の過失があると指摘。班を直接引率した菅又、渡辺両被告には、現場で雪崩の危険性をより明確に予見できた個別の過失もあるとした。

 その上で量刑を検討。菅又被告は3人の中で特に登山経験が豊富で、被害者の多くが菅又被告が率いた班で訓練に取り組んでいたことから「最も責任が重い」と判断した。猪瀬被告は現場で直接指示する立場になかった▽渡辺被告の指示により事故の危険性が高まったとまでは言えない――とし、執行猶予を付けた。【安達恒太郎】

毎日新聞

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