宇宙で醸造の清酒のもろみ、地球に帰還 1億1000万円で販売へ
酒造会社の獺祭(だっさい)(本社・山口県岩国市)が国際宇宙ステーション(ISS)で醸造していた清酒のもろみが地球に帰還し、6日夜、米ロサンゼルス発の日本航空機で関西国際空港に到着した。測定したデータ上ではアルコール分が検出されているという。本社に13日に輸送する予定で、分析を進め、搾って清酒100ミリリットルを完成させる。
宇宙用に特別に開発した醸造装置と、清酒の原料の米、こうじ、酵母、水が2025年10月、鹿児島県の種子島宇宙センターからH3ロケット7号機で打ち上げられ、補給機でISSに輸送された。
ISSの実験棟「きぼう」で、油井亀美也・宇宙飛行士が醸造装置を設置し、水を注入して原材料を混ぜ合わせた。月面の重力(地球の約6分の1)に相当する環境下で、自動で1日1回かき混ぜ、2週間にわたって発酵させた。発酵の速さは地上の同条件よりもやや遅かった。装置2台のうち1台は不具合のため醸造できなかった。
もろみ260グラムが凍結した状態で地球に帰還し、2月27日に米国西海岸沖の洋上に着水し、回収された。もろみを入れた筒状の容器を強化段ボールで包み、氷点下50度の状態で空輸した。
清酒100ミリリットルを1億1000万円で販売する。購入者は決まっており、売り上げは全額、今後の日本の宇宙開発事業のために寄付する。味は分からないという。
「獺祭MOONプロジェクト」として将来、月に存在するとされる水を使って月面での醸造を目標に掲げる。獺祭の桜井博志会長は「少しほっとした。これから宇宙で人類が生きていく可能性があり、(清酒で宇宙での)潤いを与えたい。まだ一歩です」と話した。【中村宰和】
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