被告社長、「厳罰切望」に落ち着かない様子見せ 知床沈没結審
知床半島沖で2022年、観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没して乗客乗員全26人が死亡・行方不明となった事故で、17日に結審した釧路地裁での公判。業務上過失致死罪に問われた運航会社「知床遊覧船」社長の桂田精一被告(62)側は改めて無罪を訴えたが、被害者家族側は桂田被告の責任を厳しく追及した。事故の予見可能性を焦点に、公判は6月に判決を迎える。【平山公崇】
この日は家族を支援する被害者参加弁護士が終始厳しい口調で桂田被告を指弾した。
「(事故の)本質は自然災害による不可抗力ではなく、被告人が営利を最優先し、法令や自社の安全管理規定に明記された基本的かつ具体的義務をことごとく無視し、気象情報の確認すら怠り、必然的に発生した。極めて悪質な人災だ」
業務上過失致死罪の法定刑上限になる「5年の実刑」を求めた。
ずっとうつむいた状態で聞いていた桂田被告は、「家族はいずれも被告人に厳罰を切望している」とのくだりになると、足を小刻みに動かしたり、靴下をたくしあげたりと落ち着かない様子を見せた。
公判の後、被害者の家族が取材に応じた。
行方不明になっている小柳宝大(みちお)さん(当時34歳)の父親は「今後の教訓になってもらうような判決を望む」と述べた。最終意見陳述で用意した紙を読み上げた桂田被告については「心からの謝罪ではないと思うが、(桂田被告の言葉に)納得しなければいけないと自分に言い聞かせている」とした。
家族が行方不明のままの道外の男性は、これまで報道陣の取材に応じる機会が少なかった。「事故から間もなく4年。風化が怖い。最近、船舶の事故があったし、自分がこの場に出ることで(思いが)伝わればと思った」と語った。桂田被告については事故発生直後から誠意を感じていないとし、「メモを見ながら、表面だけの薄い言葉。到底許せるはずがない」と厳しい口調で語った。
兄を亡くした道外の男性は「すべての思いは伝えてきたが、私たちの家族は帰ってこない」と悔しさをにじませ、こう口にした。
「本当ならもっと重い罰を与えてほしいと思っているが……。あとは裁判所に任せるだけです」
やるせない思いを抱えながら、判決を待つ。
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