北大「追い出し部屋」 教授会の「組織的なアカハラ」認定

2026/09/30 04:55 

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 北海道大理学研究院の化学部門で複数の准教授が「教授会によって組織的に孤立させられている」と訴えていた問題で、北大のハラスメント対策室が調査した結果、教授会の准教授に対する対応を「組織的なアカデミックハラスメントに該当する」と7月に認定したことが毎日新聞の取材で判明した。これを受け、複数の教授が処分を受けたとみられるが、北大は調査結果も処分も公表していない。

 ハラスメントに詳しい専門家や弁護士によると、教授会による組織的なアカハラ行為が認定された例は確認されておらず、日本で初めてのケースとみられる。

 ◇「組織的なパワハラ」と調査求め

 化学部門では、教授が退職や異動で不在となった研究室に残った准教授らを「旧スタッフ」などと呼んで区別。教授会に当たる「講座委員会」は2020年度、旧スタッフを対象に、学生を新たに配属しない▽居室を移動させる▽新任教授は旧スタッフを引き受けない――などとする内部基準を作成した。

 内部基準は講座委のみが把握し、複数の准教授が理学研究院に改善を求める陳情書を提出した直後の24年1月まで教員にその存在を明かしていなかった。

 旧スタッフには研究を共にする学生が配属されず、最長で4年以上、たった一人で研究する環境、いわゆる「追い出し部屋」に置かれた准教授もいた。複数の准教授が24年9月に講座委の一連の対応は「組織的なパワハラと考えざるを得ない」などとしてハラスメント相談室に調査を求めていた。

 ◇「研究上の権利を侵害」

 相談室から調査要請を受けた対策室は学内の幹部らで構成されるが、対策室が委任した弁護士が参画する調査委員会が置かれ、事実関係を調査する。

 北大関係者によると、調査した結果、講座委が20年度に旧スタッフの居室を移動させて学生を配属しないと決議したことや、苦情を受けても待遇を見直さず21~24年度に学生を配属しなかったことなどを事実と認定。そのうえで講座委の対応を「組織的なアカハラ」とした。

 「終身雇用の旧スタッフの意思に反して研究室から追い出すことを意図し、その目的は不当」とも指摘したという。

 さらに旧スタッフが改善を訴えても講座委が迅速に検討しなかったことについて「極めて不適切」などと批判。准教授の一人が研究室から別室に追いやられたことは「研究上の権利を侵害している」と認定した。

 北大はアカハラ認定を受け、問題に関わった講座委のメンバーを処分したとみられる。当時の講座委にいた教授は現役教授だけでも10人以上に上る。

 毎日新聞が北大にアカハラ認定などへの見解を尋ねたところ、北大は「関係者のプライバシー保護及び機微な内部情報に関わるものであることから、回答を控える」と返答。調査結果を公表していないことについては「調査結果は一般に公表を前提とするものではありません」とコメントした。

 ◇専門家「異常性は高い」

 アカハラ問題に詳しい広島大ハラスメント相談室の北仲千里准教授(社会学)は「大学が『部局の自治』に踏み込んだ画期的な調査結果だ。異常性は高く、一般企業や小さな研究組織であれば、お取り潰しになってもおかしくない」と指摘。「北大は何をしてはいけないのかをはっきりさせた。同じような訴えがあった場合、他大学にとっても参考になる」と話した。【鳥井真平】

毎日新聞

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