スラッガーに「異変」 センバツ出場選手の高校通算本塁打最多は
長距離打者の指標とも言える「高校通算本塁打」に変化が表れている。18日に開幕する第97回選抜高校野球大会の大会本部が出場校の選手に実施したアンケートによると、個人最多の高校通算本塁打は17本(2月末時点)。歴代のスラッガーと比べてもはるかに少ない。
◇出場選手で最多は17本
高校通算本塁打は練習試合で打ったものを含むため公式記録ではないが、長距離打者であれば誰しもが意識する数字だ。通算100本以上放った選手は過去に3人とされている。
3年夏までで歴代最多140本を放った花巻東(岩手)・佐々木麟太郎選手(米スタンフォード大)、111本の早稲田実(東京)・清宮幸太郎選手(日本ハム)、107本の神港学園(兵庫)・山本大貴さん(元JR西日本)だ。佐々木選手は1年秋に50本に到達。清宮選手も2年秋で78本を積み上げた。
練習試合は学校のグラウンドを使うケースが多い。球場の広さや試合数など条件が個々に異なるため比較は難しいが、大阪桐蔭で87本を放った中田翔選手(中日)ら歴代上位打者には高校野球史を彩ったプレーヤーが名を連ねてきた。
今春は「異変」が起きている。選抜大会の出場校でアンケートに回答した選手を集計すると、2桁を記録したのは15人。20本以上を放った選手はいなかった。
最多は17本の智弁和歌山・福元聖矢選手。身長180センチ、体重90キロのがっちりした体格の左打者だ。2番だった昨秋は、近畿大会準決勝の市和歌山戦で2打席連続の本塁打を放った。
2番目に多かったのは16本の健大高崎(群馬)・秋山潤琉(ういる)選手。右の強打者で、勝負強さも兼ね備えている。浦和実(埼玉)の野本大智捕手、天理(奈良)の伊藤達也選手がともに12本で続いた。
10本以上をマークした15人のうち、学校別では花巻東の3人が最多。学年別では、花巻東・赤間史弥選手が唯一の2年生だった。
昨秋の公式戦に限った個人最多本塁打ランキングは健大高崎の秋山選手が3本でトップだったが、前年に個人最多だった豊川(愛知)のモイセエフ・ニキータ選手(ヤクルト)の6本と比べても半減した。
高校通算本塁打数が伸びない要因の一つとして挙がるのが、2024年春のセンバツから完全移行した反発性能を抑えた新基準の金属バットだ。
バットの最大直径を縮小し、球の当たる部分をより肉厚にして反発性能を抑え、木製の性能に近づけた。打球の平均速度、初速がともに減少し、柵越えが減ったとみられ、選手からも「飛ばなくなった」との声が聞かれる。現在の高校2年生は入学時点から新バットに完全移行している世代だけに、影響は大きいようだ。
前回大会の本塁打数は3本で、うち1本はランニング本塁打。金属バットがセンバツに導入された1975年以降で大会最少だった。24年夏の甲子園も金属バット導入後で最少の7本にとどまった。
24年の高校野球のトレンドは「投高打低」だったが、今年はスラッガーがどのようなアーチを描くのか。各チームの主砲に注目したい。【まとめ・石川裕士】
◇選抜出場選手の高校通算本塁打
17本 福元 聖矢(智弁和歌山)
16本 秋山 潤琉(健大高崎)
12本 野本 大智(浦和実)
伊藤 達也(天理)
11本 新田光志朗(花巻東)
赤間 史弥(花巻東)
花沢 莞爾(二松学舎大付)
児玉 一琉(常葉大菊川)
10本 佐藤洸史郎(青森山田)
高橋蓮太郎(花巻東)
菊地 政善(聖光学院)
杉山 翔大(健大高崎)
下坊 大陸(天理)
山下 航輝(西日本短大付)
安田 悠月(西日本短大付)
※2月末時点のアンケートで回答があった選手から集計
◇選抜出場選手の昨秋の公式戦本塁打上位
3本 秋山 潤琉(健大高崎)
2本 菊池 伊真(青森山田)
福元 聖矢(智弁和歌山)
福和田啓太(二松学舎大付)
伊藤 達也(天理)
橘 朋宏(高松商)
佐藤洸史郎(青森山田)
木下 心結(日本航空石川)
山下 航輝(西日本短大付)
児玉 一琉(常葉大菊川)
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