「放送の甲子園」から本物の甲子園へ センバツ司会の高校生2人
18日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する第97回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の開会式では長崎県立諫早高の古賀美希さん(18)と福岡・筑紫女学園高の福島百香さん(18)が司会を務める。第71回NHK杯全国高校放送コンテストのアナウンス部門で古賀さん、朗読部門で福島さんが優勝。今春卒業の2人は磨き上げたアナウンス技術で選手たちを鼓舞する。
◇史上初 2年連続の司会 古賀美希さん
古賀さんはセンバツ史上初めて2年連続で開会式の大役を任された。前回の経験が「野球を楽しむきっかけ」になったといい、「再び甲子園という大舞台で司会ができるのはうれしい」と喜ぶ。
前回は入場行進で出場32校の名前をアナウンス。全国に生中継される緊張感や、間違えてはいけないというプレッシャーがあったが、放送部で出場するコンテストの時と同じように本番前にレモン味の喉あめをなめて気持ちを落ち着けた。
元々野球にあまり関心がなかった。だが、前回大会の開幕試合を観戦し、アルプススタンドの熱狂や応援の声量に胸が熱くなった。「選手一人一人への気持ちを込めて応援しているのが分かった」。以降、テレビや新聞で積極的に高校野球や米大リーグのニュースを見るように。難しい野球用語やルールは諫早高の野球部員らに尋ねて理解を深めた。今大会は21世紀枠で初出場する長崎県勢の壱岐に注目している。
4月から関東の大学に進学する。高校時代の集大成として「出場する一校一校へ『頑張れ』という気持ちを持って務め、大会を盛り上げたい」と意気込む。【川島一起】
◇ミュージカル経験も強みに 福島百香さん
福島さんは、開会式のうち入場行進のアナウンスを担当する。
人前で歌ったり踊ったりすることが好きで、5歳からアマチュアの劇団に所属し、ミュージカルを続けてきた。中学1年から放送部へ。優勝したNHK杯では、1926年に発生した北海道・十勝岳の噴火を描いた三浦綾子さんの小説「泥流地帯」を選び、噴火で全てが流された人々が、犠牲者を思い墓前で絵を描く場面を朗読した。
「放送の甲子園」から本物の甲子園へ。「ちゃんと理解して読まなければ伝わらないし、自分の理解が読みやすさにも聞きやすさにもつながる」と考え、司会が決まると、過去の優勝校やプラカード製作で関わる高校のことなど大会のあゆみや仕組みを調べた。
今大会の入場行進曲「幾億光年」は、カラオケで歌うほど大好き。「音楽に合わせた声の表現ならミュージカルと共通点がある」と気持ちの高まりにつなげている。出場校名や都道府県名などアナウンスの内容は限られるが「選手たちはその瞬間に全てをささげてきた」と思いをはせ、「エールの気持ちを声に乗せたい」と意気込んでいる。【長岡健太郎】
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