東洋大姫路「念願の子たち」 選手支えた3人のアナリスト センバツ
履正社(大阪)を夏の甲子園優勝に導いた岡田龍生監督が母校へと戻り、3年ぶり9回目のセンバツに臨んだ東洋大姫路(兵庫)。岡田監督が前任校時代に導入を切望していたのが、分析を担当するアナリストだ。「念願の子たち」と一押しする3人は、24日の2回戦でアルプススタンドから選手たちの活躍を目に焼き付けた。
◇校内に貼られた募集ポスター
西村柊人(しゅうと)さん、角田晴陽(はるひ)さん、倉内祐輔さんの3人。試合の日にスコアブックを記入するほか、打球、球種などを細かく書きとめ、選手一人一人の打率や傾向を分析している。
2024年の春、募集を知らせる校内のポスターを見て「あの岡田監督の下で野球に関わりたい」と応募した。入学したての3人は、それぞれ幼少期に野球経験があったり、家族ぐるみで野球好きだったりなどの背景を持つ。面談と試用期間を経て、本格的に活動を始めた。
普段の練習には顔を出さないが、公式大会や練習試合に駆け付け、スタンドやバックネット裏でスコアブックに配球や打球の方向、球種、球速などを記録する。打球はAからDまでランク分けをして分析。「安打になった」「フライに打ち取られた」だけを評価するのではなく、「安打になったが芯で捉えられていない打球だった」「芯で捉えていたが相手の好プレーでフライになった」などを考慮し精査していく。こうして各選手の記録を把握し、チームの平均値も出す。
その結果はファイルなどを共有できるアプリを通じて選手や指導陣に渡され、ベンチにも張り出される。渡辺拓雲(たくも)主将は「数字なので分かりやすい。出塁率や打率が自分より高い選手にアドバイスを求めるなど参考にしている」と語る。
アナリストの分析結果を取りまとめる西岡秀太コーチも「数字や表で示すことで『どの球が打たれやすかったか』『どの球の時に打てたか』などの傾向が分かる」と言う。角田さんは「記録する係、分析する係など、3人それぞれが得意なことを分担して話し合いながらやっている」と話す。
東洋大姫路では、筋肉量や体脂肪量などを測定する装置「インボディ」を導入し、月1回の測定結果を共有するなど、普段から数字を大事にしているのが特徴だ。
◇岡田監督「普通の会社と同じ」
岡田監督によると、数字だけで全てを決めるわけではない。だが具体的に示すことで競争心をあおるだけでなく、自身を客観視でき、明確な目標を設定できるという。「普通の会社でも『今年も頑張りましょう』ではなく、数字で『今月の売り上げはこれくらいを目指しましょう』とか言うでしょう。それと同じですよ」
チームは「古豪から強豪へ」を目指し、学業で優秀な3人の分析が見えないところで支えとなる。20日の1回戦は海外研修があったが、24日の2回戦・広島商戦でスタンドから応援を送った。敗れはしたが、西村さんは「選手たちの活躍を見られて良かった。夏に向け頑張ってほしいし、自分も頑張りたい」と話した。【木山友里亜】
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