69キロのスローボールも 阪神・大竹耕太郎、変幻自在の6回無失点

2025/10/30 21:21 

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 ◇阪神―ソフトバンク(30日・甲子園)

 後がない阪神の先発は左腕の大竹耕太郎。ソフトバンクの投手のような強い球がなくても、打者を抑えられればいいとばかりに、持ち味の変幻自在の投球を見せ、6回無失点と好投した。

 個々の技量が高いソフトバンク打線に対し、「柔」で攻めた。二回、今シリーズ3試合連続本塁打の山川穂高を、140キロながら質と制球の良い内角直球で見逃し三振に抑えると、四回には特徴の一端を出して球場を沸かせた。

 柳町達にスローボールを2球続け、69キロのボールでじらして中飛に打ち取った。同じ直球でも球速を変え、チェンジアップは終始、効き目十分。五回2死から野村勇に内野安打を打たれるまで走者を一人も出さなかった。

 熊本県出身の大竹は2003年、九州のチームのダイエー(現ソフトバンク)対阪神の日本シリーズを家族とテレビ観戦していたことを今も覚えている。ファンクラブにも入っていた。縁あってソフトバンクに入団し、現役ドラフトで阪神に移籍した時は「自分が生き残るのに精いっぱい」と必死だった。将来、古巣のソフトバンクと日本一を競うとは夢にも思わなかったという。

 そこから好投手がそろう阪神の先発陣の一角を担うまでになった。シリーズ開幕前、大竹は「そういったところから僕の道はスタートしている。人生に影響を与えられるような投球を見せられるように」と話していた。日本の最高峰の試合で、剛球がなくても戦えることを示した。【荻野公一】

毎日新聞

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