◇○ソフトバンク３―２阪神●（３０日・甲子園）

　プロ野球の「ＳＭＢＣ日本シリーズ２０２５」は３０日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で第５戦があり、パ・リーグ連覇の福岡ソフトバンクホークスが、セ・リーグ優勝の阪神タイガースを３―２で破り、４連勝で対戦成績を４勝１敗として、２０２０年以来５年ぶり１２回目（前身の南海、ダイエー時代を含む）の日本一に輝いた。

　◇藤川監督、執念の采配

　投じた右腕を下ろしたまま、ぼうぜんとした。後がない阪神の切り札、エース・村上頌樹が中継ぎとして登板したが、延長十一回に力尽きた。

　十回に村上の名前がアナウンスされると甲子園がどよめいた。今シリーズの第１戦で先発し、７回１失点で１１５球を投げて勝ち投手になった。この日中４日でベンチ入りしていた。最多勝など投手３冠の村上は、藤川球児監督からの信頼が厚く、窮地に追い込まれたチームのためブルペンで待機していた。

　十回を無失点に抑えると、十一回もマウンドへ。先頭の右打者・野村勇への５球目だった。やや外よりの直球を投じたが、野村の強いスイングに、打球は浜風とは逆の右翼方向へ吹く秋風に乗り、右翼席の前列に落ちた。

　この試合、２点リードした阪神は八回に石井大智を投入。今季５０試合連続無失点の日本記録を作った右腕に託したが、柳田悠岐に痛恨の同点２ランを浴びた。石井は昨季と今季は本塁打を一本も打たれておらず、今季の失点は４月４日の巨人戦以来だった。石井で逃げ切れず、村上は決勝点を許し、藤川監督の執念の采配は実らなかった。

　阪神は今季、史上最も早くリーグ優勝を決めたが、日本シリーズでは下位打線を中心に元気がなく、４番の佐藤輝明が５試合連続打点をマークするなど奮闘したが、全試合２得点以下だった。結局、猛虎打線が目覚めることなく、２年ぶりの日本一はつかめなかった。【荻野公一】