「関税インフレ」FRB議長、警戒感あらわ 2会合連続金利維持
米連邦準備制度理事会(FRB)は19日、政策金利の誘導目標を4・25~4・5%に維持すると決めた。トランプ米政権の関税引き上げで物価上昇(インフレ)が再燃する懸念が強まっており、パウエル議長は記者会見で警戒感をあらわにした。
FRBが利下げを見送り、政策金利を据え置くのは2会合連続。2025年の利下げ予定回数は2回とし、見通しを維持した。
政策金利を決める米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でパウエル氏は米経済について、足元で堅調に推移しているものの、関税引き上げで先行きの不確実性が「異常に高まっている」と指摘。「インフレ率のうち、どれだけが関税に起因するものなのか正確に評価するのは難しい」としつつ、「タリフ(関税)インフレーション」との表現を何度も使って物価高再燃リスクを説明した。米経済が景気後退(リセッション)入りする懸念については「そのような予測はしていない」と否定した。
また、FRBは1月のトランプ政権発足後初となる最新の経済見通しも発表。25年10~12月期の米経済成長率は1・7%と昨年12月に発表した前回見通し(2・1%)から引き下げ、インフレ率は2・7%と前回(2・5%)から引き上げた。関税引き上げ政策による「負の影響」を織り込んだ形だ。
FRBはピーク時に9%を超えた記録的インフレが沈静化に向かっていると判断し24年9月以降、3会合連続で利下げを実施。ただ、1月会合ではトランプ政権下でのインフレ再燃リスクを警戒し、4会合ぶりに利下げを見送った。
トランプ政権はメキシコ、カナダに25%、中国に20%の関税を発動したほか、すべての国からの鉄鋼・アルミニウム製品にも25%の関税をかけている。4月2日には相手国と同じ関税率を適用する「相互関税」や、自動車関税なども予定しており、米国内で多くのモノの値段が上昇する恐れが出ている。【ワシントン大久保渉】
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