札幌駅前再開発 新たな施設の全面開業は2034年度 再び延期
札幌駅南口(札幌市中央区北5西1、2)の再開発計画を巡り、JR北海道の綿貫泰之社長は19日の定例記者会見で、新たな施設の全面開業が2034年度に遅れる見通しを明らかにした。工事費の高騰を受け、昨年2月に目標の28年度から最長で2年遅れる可能性を示していたが、さらに延期することになる。【谷口拓未】
再開発地区は、23年8月に閉店した商業施設「エスタ」跡地(西2地区)と、その東側のエリア(西1地区)。JR北によると、工事費は24年9月に当初計画の約1700億円から約3700億円と2倍以上に膨らむことが示され、計画の見直しを進めてきた。
JR北は工事費増の要因について、人件費や資材費の高騰に加え、道内外で大型事業が相次いでいることを挙げた。また、南口再開発の規模が大きく、一体的な整備によって一定期間に工事が集中することから、労務コストが膨らむと分析した。
そのため、新たな計画は、商業施設とバスターミナルが入るものの、比較的規模の小さい西2地区の新築工事を27年度に先行的に着工し、30年度に開業。一方、ホテルやオフィスなどが入る高層ビルの西1地区は30年度に着工し、34年度の開業するとして「2段階」で開発を進める。工期をずらすことで、工事集中に伴うコストを抑制する狙いがある。これまではいずれも26年度に着工して、30年度に開業する予定だった。
建物の規模も見直す。地上43階建て、高さ245メートルの予定だった西1地区の高層ビルは規模を縮小する方針を示した。詳細は今後、決定する。西2地区については地上10階地下2階建てで、バスターミナルに乗り入れる路線は市内線、都市間を含めて検討する。
今回の見直しを受け、25年度は再開発の全体計画を取りまとめるとともに、秋からはエスタの本格的な解体工事を進める。ただし、人件費や資材費の高騰は続いており、実際に工事費3700億円を圧縮できるかについては不透明だ。
一方、綿貫社長は、国土交通省の有識者会議が北海道新幹線の札幌延伸について目標の30年度末から38年度末ごろになる見通しを示したことについても触れ、「開業時期が大幅に遅れることは大変残念。スケジュールに関わらず、経営自立に向けて経営改善の取り組みを全力で推進する」と述べた。
国によるJR北への財政支援は30年度まで。30年度末の札幌延伸を31年度の経営自立の柱としていただけに痛手となることは必至で、「(延伸が遅れれば経営自立が)遅れる。どれくらいの影響かは精査する。支援継続に関しては国、関係機関に相談して参る」と語った。
また、札幌延伸の遅れによる南口再開発の影響について問われると、「再開発は新幹線の札幌開業に関わらず進めたい。札幌駅前の土地を有効活用して収益を上げる。新幹線が来ていなくても多くの方に利用していただける施設だ」と強調した。
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