NTT、NTTデータを完全子会社へ 「親子上場」解消で経営効率化

2025/05/08 20:20 

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 NTTは8日、子会社のNTTデータグループを完全子会社化すると発表した。親会社と子会社が株式を上場している「親子上場」を解消して意思決定の迅速化を進め、NTTの財務基盤を活用した海外事業強化に注力する。NTTによる株式取得費用は約2兆3700億円を見込む。

 データグループは中核子会社の一つで、NTTが株式の約58%を保有。ITサービスや、人工知能(AI)関連で需要が増えているデータセンター事業などを手掛けている。1988年にNTTから独立し、2023年に現在の社名になった。

 NTTは9日から6月19日まで株式の公開買い付け(TOB)を実施して残りの株式を全て取得する予定で、データグループは東証プライム市場から上場廃止となる見通し。

 NTTの島田明社長は8日、「親子上場に伴う複雑な意思決定や双方の株主に説明する難しさがあった」と説明。事業環境の変化が早いAI関連では速やかな経営判断が必要なことや、北米ほか海外でのデータセンター事業で巨額費用が必要になることなどが背景にあるとし、「より柔軟、迅速、大胆に成長投資を実行したい」と述べた。

 NTTは固定電話の需要減を背景に、スマートフォンを中心としたITサービスの拡大や海外展開の強化を見据えてグループ再編を進めてきた。20年にはNTTドコモを約4兆円で完全子会社化した。データグループの完全子会社化で大規模な再編事業は一段落する。【植田憲尚】

毎日新聞

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