USスチール買収完了の日鉄 米政府に「黄金株」を1株発行と発表

2025/06/18 23:57 

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 日本製鉄は18日、米鉄鋼大手USスチールの買収手続きが完了したと発表した。141億ドル(約2兆円)を投じてUSスチールの普通株をすべて取得し、完全子会社化した。

 日鉄は14日に米政府との間で「国家安全保障協定」を締結。経営上の重要事項について通常より強い拒否権を持つ「黄金株」を米政府に発行することを条件に、トランプ米大統領から買収の承認を得ていた。

 日鉄は18日、USスチールが米政府に対し、黄金株を1株発行すると発表した。日鉄の森高弘副会長がUSスチールの会長を兼任することも明らかにした。

 日鉄の橋本英二会長は買収完了を受け、「USスチールの経営がスタートし、大規模投資、先進技術の導入、そして両社の経営陣と社員一人一人のたゆまぬ努力により、世界一の鉄鋼メーカーとしての地位を確かなものにしていく」とのコメントを出した。橋本氏と森氏が19日、東京都内で記者会見を開く。

 日鉄は2023年12月にUSスチール買収計画を発表したが、バイデン前大統領が25年1月に「国家安全保障上のリスク」を理由に買収中止を命令した。その後に大統領に就任したトランプ氏がリスクを再審査するよう対米外国投資委員会(CFIUS)に指示する異例の展開をたどり、約1年半かけてようやく買収が成立した。【成澤隼人】

毎日新聞

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