日本製鉄が株主総会 会長、USスチール買収巡り「極めて合理的」

2025/06/24 20:00 

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 日本製鉄は24日、東京都内で定時株主総会を開いた。米鉄鋼大手USスチールの完全子会社化について、橋本英二会長は「米国は圧倒的に大きな市場で今後も成長が期待できる。買収は極めて合理的だ」と説明。重要事項の決議に拒否権を行使できる「黄金株」を米政府に発行したが「経営を牛耳られることはない」と強調した。

 日鉄は米政府との国家安全保障協定に基づき、約141億ドル(約2兆円)でUSスチールを完全子会社化した。2028年までに総額約110億ドルを投資し、老朽化した生産設備の改修のほか、製鉄所や研究拠点の新設などを進める。

 USスチールの買収を巡っては、シンガポールの資産運用会社3Dインベストメント・パートナーズが「投資効果の説明が不十分だ」と指摘。今井正社長と森高弘副会長の取締役再任議案に反対するよう株主に呼びかけていたが、取締役10人の選任など会社側が提案した3議案は全て可決された。株主提案の3議案はいずれも否決となった。

 出席株主数は1257人と前年の690人から大幅に増加し、USスチール買収への関心の高さをうかがわせた。

 総会終了後、株主の70代男性は「米国市場の有望さを考えれば金額に見合う投資だと感じた。中長期的な安定成長に期待したい」。別の株主は「買収の合理性やメリットばかりが強調されているが、本当に懸念材料はないのだろうか」と疑問を呈した。【成澤隼人】

毎日新聞

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