日産株主ら新旧経営陣を猛批判 内田前社長は「座っているだけ」

2025/06/24 19:15 

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 内田誠前社長は説明責任を果たして――。24日に横浜市の日産自動車本社で開かれた定時株主総会では、来場した株主から「退任する執行役の報酬が高すぎる」「今後リストラされる従業員が出るのに、社外取締役全8人は再任され経営責任を問われないのはおかしい」など、新旧経営陣に対する批判が噴出した。

 株主らによると、この日の株主総会で取締役を退いた内田氏は、旧経営陣の一人として総会に登壇。時折メモを取るなどしていたが表情は変えず、一言も発言の機会はなかったという。

 無職の男性株主(79)は「座っているだけで、株主の気持ちに寄り添わない姿勢が残念。僕らは内田さんを信じた。一言だけでも自分の言葉で謝罪してほしかった」と憤った。内田氏ら執行役4人の退任に伴う報酬が計6億4600万円に上ることに「これからリストラに遭う従業員がトカゲのしっぽ切りのように映る。温かみのない欧米の会社のようだ」と嘆いた。

 会社員の男性株主(59)は、総会で選任された取締役12人のうち、再任された社外取締役8人全員について「辞めてもらいたい」と訴える。「法律上、社外取締役は社長を交代させることで経営責任を果たすとの説明があった。(内田氏が3月末で社長を退任したことで)あたかも『我々は辞めなくていい』と言っているようにも聞こえて正直驚いた」とあきれていた。

 総会の質疑では、深刻な業績不振に陥ったことに関して内田氏に説明を求める株主の意見が相次ぎ、そのたびに賛同する拍手がわき起こったという。だが、これらの要望は議決権ベースで多数に至らず却下され、60代の株主男性は「日産の社内風土が表れているようで、株主を辞めようかと思う」と言い残し、会場を後にした。【矢野大輝、鶴見泰寿】

毎日新聞

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