美浜原発で新設検討の「革新軽水炉」とは 新技術で安全対策強化
関西電力が美浜原発で新設を検討する「革新軽水炉」は、福島第1原発事故後に定められた新規制基準に適合するよう、既存の原子炉に改良を加えて設計されたものだ。基本的な仕組みは既存原発と同じで高レベルの放射性廃棄物も発生するが、安全対策に新しい技術が導入されている。
現在国内で稼働する商用原発はすべて、水を冷却材として用いる軽水炉だ。加圧水型(PWR)と沸騰水型(BWR)があり、革新軽水炉では三菱重工業がPWR、東芝や日立製作所の子会社がBWRの開発に取り組んでいる。
このうち「一番先行しているのは三菱重工」(日本原子力産業協会の増井秀企理事長)で、2022年9月には関電など既存のPWRを保有する電力会社4社と革新軽水炉「SRZ―1200」を共同開発すると発表した。関電幹部は「現実的な選択肢として考えているのがSRZ―1200だ」と話す。
SRZ―1200の炉心は、三菱重工の従来の原子炉の技術がベースとなっている。東京科学大の奈良林直特定教授(原子炉工学)は「既に実証された技術を用いることで、原子力規制委員会の承認を短期間で得るのが狙いだ」と解説する。
事故時の安全対策は強化されている。福島事故では地震と津波で電源が失われて核燃料を冷やせなくなり、炉心溶融や水素爆発を招いた。SRZ―1200は、電源が必要なポンプによる注水に加えて、水の自然循環を使うため、電源がなくても一時的な炉心の冷却が可能とされる。
また福島事故では、核燃料が原子炉圧力容器から溶け落ち、今も取り出せずにいる。この対策としてSRZ―1200では、圧力容器の下部にプール状の「コアキャッチャー」を設け、溶け落ちた核燃料を集めて水で冷やすようにした。東芝などの革新軽水炉も同様だ。
SRZ―1200は格納容器内のガスを大気中に放出するベントが必要な場合、放射性のセシウムやヨウ素、希ガスを除去する装置も備える。
京都大複合原子力科学研究所所長の黒崎健教授(原子力工学)は「現在普及している軽水炉をベースに、地震や津波、テロ対策など、考えられる事態を織り込んで主に安全対策に新しい技術が導入されている」と説明する。【小川祐希】
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