中国GDP 2四半期連続で減速 長引く不動産不況、内需が失速

2025/10/20 11:08 

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 中国国家統計局が20日発表した2025年7~9月期の国内総生産(GDP)は、物価変動の影響を除いた実質で前年同期比4・8%増だった。成長率は25年4~6月期の5・2%増から縮小し、2四半期連続で減速した。

 長引く不動産不況を背景とした節約志向の定着で消費は力強さを欠く。投資にも慎重姿勢が広がり、内需は伸び悩んだ。1~9月期の成長率は5・2%だった。政府は25年通年の目標として「5%前後」の成長率を掲げており、達成に向けて内需拡大が課題となる。

 前期比では1・1%増となり、4~6月期(1・0%増)とほぼ横ばいだった。生活実感に近いとされる7~9月期の名目GDPは前年同期比3・7%増。実質成長率を下回る「名実逆転」が10四半期連続で続いており、デフレ圧力が強い状況が続いている。

 GDPと同時に発表された経済指標によると、1~9月期の個人消費の動向を示す社会消費品小売総額は前年同期比4・5%増で、1~6月期(5・0%増)より失速した。政府による買い替え促進策の効果が薄れつつあり、価格競争の激化で消費金額が伸び悩んだ。

 不動産不況は長引いており、1~9月の商店や住宅などの不動産開発投資は13・9%減で、1~6月期(11・2%減)よりも減速した。

 工場建設などを含めた固定資産投資(1~9月期)は0・5%減でマイナスに転落した。1~6月期は2・8%増だった。

 1~9月期の輸出(人民元ベース)は7・1%増で、1~6月期(7・2%増)と同水準を維持した。「トランプ関税」の影響で対米輸出が減少した分を他の地域への輸出で補っており、外需は比較的堅調だ。ただ、関税などを巡る米中間の緊張は再び高まりかねない情勢で、先行きは不透明だ。

 国家統計局は20日、GDP発表の際に定例となっている記者会見を開かなかった。20日に中国共産党の重要会議である第20期中央委員会第4回総会(4中全会)が開幕したことの影響とみられる。

 4中全会では中期的な経済運営についても議論する予定で、内外に新たな成長の道筋をアピールできるかが注目されている。【北京・松倉佑輔】

毎日新聞

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