日本海のズワイガニ守る 5府県が共通ロゴ 北海道の競合を懸念

2025/10/23 10:45 

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 「松葉ガニ」「越前ガニ」などで知られる日本海のズワイガニのブランドを守り育てようと、兵庫、京都、石川、福井、鳥取の1府4県が共通のロゴとキャッチコピーを作成した。数年前から北海道沖で突如、大量に取れ始めたオオズワイガニが流通することを懸念しており、11月6日の漁の解禁日を前に、ズワイガニのパンフレットや動画も公開する。

 キャッチコピーは「日本海の蟹守人(かにもりびと)」。ロゴはキャッチコピーを赤や緑など5色のズワイガニが囲んでいる。

 日本海西部でズワイガニを底びき網漁で取る5府県では、雄は「松葉ガニ」(鳥取・兵庫県)や「加能ガニ」(石川県)「越前ガニ」(福井県)、雌は「香箱ガニ」(石川県)などそれぞれのブランド名で販売している。漁業者は漁期の短縮や漁獲量制限などの資源管理を続けることで、ズワイガニの品質を維持してきた。キャッチコピーとロゴはそうした取り組みを表現している。

 背景にあるのが2023年から北海道の太平洋側で大量に漁獲され始めたオオズワイガニだ。北海道立総合研究機構水産研究本部によると、オオズワイガニは北海道の太平洋岸の海域で1980年代半ばに数年間1000トン以上が取れた時期があった。ただ、その後100トン程度に激減していた。急激な増減の理由は今も判明していない。

 近年の漁獲高について同本部の担当者は「明確なデータはまだないが、1000トンレベルに達している」と説明。23年秋から道内の漁協などが漁として採算が合うか試験操業を始めた。最近は甲羅の幅が10センチ超となり、商品価値が出てきたという。

 全国底曳網漁業連合会によると、24年度の日本海のズワイガニの1キロ当たりの平均単価は前年度比17・1%減の5054円。オオズワイガニが流通し始め、ズワイガニの単価に影響しているという。

 今回、5府県の漁業関係者は、オオズワイガニが安価で流通してズワイガニと競合するとの危機感を募らせている。キャッチコピーとロゴは宣伝ポスターに掲載し、パンフレットには、ズワイガニの生態やオオズワイガニの見分け方などを掲載する。全国底曳網漁業連合会の富岡啓二会長は「5府県で協力して資源管理し、おいしいカニを末永く安定的に供給したい」と強調していた。【栗田亨】

毎日新聞

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