CO2を深さ1キロ超の地中に貯留 実用化へ苫小牧沖で試掘

2025/12/16 10:00 

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 石油資源開発(東京都、JAPEX)は、二酸化炭素(CO2)を回収して地下に貯留する「CCS」事業の実用化に向け、北海道苫小牧市勇払で27日から試掘を実施する。CO2を安全に貯留するため地層の状態を調べ、2027年3月までに事業化を判断する。

 CCS事業法に基づく国内初の取り組み。経済産業省は法に基づく候補地として2月に苫小牧市沖を「特定区域」に指定。試掘を担う事業者としてJAPEXに許可を与えた。

 CCSはCO2に圧力をかけて「超臨界流体」という液体のような状態にしてから深さ1000メートル超の地中に埋める技術。経産省は2030年までにCCSを実用化する目標を掲げている。

 苫小牧での計画は、同市勇払と真砂町の海岸付近で2カ所に「掘削リグ」というやぐらを設置。海面から約1540メートルの深度まで斜めに掘り進める予定。

 近隣の出光興産北海道製油所や北海道電力苫東厚真発電所から排出されたCO2をパイプラインで輸送。年間150万~200万トンの貯留を想定している。

 15日には第1坑目の同市勇払の試掘場が公開され、地元関係者が高さ約52メートルの掘削リグで進む準備作業の様子を見学した。

 市内で行われた開坑式では、山田賢司・副経産相が「わが国のCCS事業開始の大きな一歩だ」、金沢俊苫小牧市長が「CCSはエネルギー産業の集積で発展を遂げてきた苫小牧にとって極めて重要な技術」と期待を寄せた。【平山公崇】

毎日新聞

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