クーデター下で拘束された映像作家の作品が公開 出演の小野花梨「9年前の自分に照れくささも」

2026/01/25 13:02 

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映画『めぐる』3月6日より全国順次公開(C)合同会社CHAMP ASIA

 日本育ちのミャンマー人映像作家ティンダン監督の短編映画『めぐる』が、3月6日より全国で順次公開される(光石研らが出演する『エイン』と同時上映)。2021年4月、クーデター後のミャンマーで取材中だった監督が、市民の抗議デモを支持したなどとして拘束され、約2年に渡って刑務所に収容されていたため、公開が遅れていた作品だ。

【動画】短編映画『めぐる』特報

 本作は、小さな行動が、見知らぬ誰かの運命を狂わせ、あるいは救っていく様を描く群像劇。就職活動中の女子大生めぐみ(生越千晴)は、大切な入社試験の面接の日の朝も、いつもの悪夢にうなされていた。その夢とは、放課後の教室で行われる妹・奈緒(姫愛奈ラレイナ)への集団いじめと、奈緒が駅のホームへ向かう光景。寝坊しためぐみは駅へと走り、途中でスーツを着た男にぶつかりながらも、発車間際の電車に駆け込む。この駆け込み乗車によるわずかな電車遅延が、その後さまざまな人々の運命を狂わせることになる。

 すれ違う人々の人生が、一本の電車の遅延をきっかけに静かに交差してゆく本作は、時に残酷で、時に愛おしい人間の姿を描きながら、「他人の人生に思いを馳せること」の意味を問い直す。社会の騒がしさに埋もれてしまいそうな“声なき声”に、ほんの一瞬でも耳を傾けることができたなら――そんな想いが込められている。脚本は『おじいちゃん、死んじゃったって。』『愛に乱暴』の山崎佐保子(※崎=たつさき)が手がけた。

 母親の危篤の知らせを聞き、病院に急ぐ中年の男・圭一役に小野孝弘、自堕落な大学浪人生活を送るその息子・めぐる役に小出水賢一郎、謎の女子高校生・ユキ役に小野花梨、図らずも皆をつなぐ男性役で泊帝、壊れかけた家族の母親役でししくら暁子が出演する。

 21年「小布施短編映画祭」(鴻山部門作品賞受賞)や22年「ボンダンス国際映画祭」(最優秀短編賞受賞)などで上映されていたが、拘束前にスタッフへ預けていた動画データを元に、字幕のない上映用データを改めて制作。本来の形での上映は今回が初となる。

■めぐみ役:生越千晴のコメント

 めぐみ役を演じました、生越千晴です。初めて脚本を読んだのは2017年、もう9年前になります。あまりに前のことで当時どう思ってたか明確には覚えてないのですが、とてもやる意味のある作品だなと感じたのは鮮明に覚えています。

 演じためぐみは生きづらさや過去にもがきながら暮らしています。生きてゆくということは時に人々が知らぬ間に交差したりして、それによって生かされたり殺されたり、恐ろしい世界だなとも感じます。そんな世界にいたら忘れがちになるけど人はいつも人に生かされる。そういうことにめぐみ自身も気づいていくのではないかと感じたのでめぐみの今を大切に演じようと心がけました。

 監督のダンさんが拘束される前にこの映画をスタッフさんに託していたことで9年越しに公開されるということ、とても奇跡的なことだと思います。ぜひ劇場に足を運んでいただけたらうれしいです!

■ユキ役:小野花梨のコメント

 ダン監督とは撮影前後でさまざまなご縁があり、お会いするたびに驚きのエピソードをたくさん教えていただいていました。その度に温かい言葉をかけていただき、ダン監督とめぐり会えたこの作品が9年もの月日を経て公開されることをとてもうれしく思います。9年前の自分が今公開されることに照れくささも感じますが、ぜひ劇場でご覧ください!


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