「上官から実戦式の訓練と言われた」 ウクライナ軍捕虜の北朝鮮兵

2025/01/13 11:16 

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 ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、ロシア西部クルスク州で捕虜にした北朝鮮兵2人が事情聴取を受けている様子を撮影した動画を通信アプリで公開した。捕虜の1人は、ウクライナ軍と戦うことは知らず、上官から実戦式の訓練だと言われたと説明した。

 ウクライナはクルスク州に越境攻撃をしており、現地でロシア軍に加わっていた北朝鮮兵を捕虜にしたと発表していた。事情聴取には韓国当局が通訳で協力している。映像では、ベッドに横たわった兵士と、あごを負傷したとみられる兵士が、韓国人とみられる人物の通訳を介して質問に答えている。

 ベッドに横たわった兵士は、ウクライナ軍と戦うことを知っていたかと問われ、首を横に振った。仲間の兵士が死ぬのを見たと話し「防空壕(ごう)に隠れていて、1月5日に負傷した」と説明した。

 北朝鮮に戻りたいかと聞かれると「ウクライナの人々はみな、いい人ですか」と聞き返した。通訳の男性が「ここ(ウクライナ)はいいよ」と話すと、捕虜の兵士は「ここに住みたいです」と述べた。一方で「家には帰してくれないでしょう? (北朝鮮に)行けというなら行く」とも話し、ウクライナ政府の方針に従う姿勢を見せた。

 また、もう1人の兵士は、北朝鮮に戻りたいかと問われ、うなずいた。

 ゼレンスキー氏は通信アプリで、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記がロシアに抑留されているウクライナ兵の捕虜との交換に応じる場合にのみ、捕虜を北朝鮮側に引き渡す用意があると述べた。そのうえで「帰還を望まない北朝鮮兵には別の方法があるかもしれない。特にこの戦争の真実を韓国語で広く伝えたいと願う人にはその機会があるだろう」と記した。【ソウル福岡静哉】

毎日新聞

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