中国「モンスター船」で挑発 南シナ海でフィリピンと対立激化

2025/01/14 22:48 

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 中国とフィリピンなどが領有権を争う南シナ海のスカボロー礁周辺に、中国側が今月上旬から「モンスター」と呼ばれる最大級の巡視船を派遣し、両国の対立が高まっている。比側は、中国が歴史的権益の根拠としてきた「九段線」に沿って航行させており、「現状変更を試みる違法な行為だ」と非難している。

 フィリピン沿岸警備隊によると、今月4日、自国の排他的経済水域(EEZ)内にある北部サンバレス州沖で中国海警局の巨大巡視船「海警5901」を発見。全長約165メートルの巨大船がスカボロー礁周辺を航行するのが確認され、中国側は上空にヘリコプターも展開しているという。

 中国はスカボロー礁を実効支配しており、比国家安全保障会議のマラヤ報道官は14日の記者会見で「挑発行為を激化させるのは容認できない」と強調。外交ルートで抗議し、退去を求めたという。比沿岸警備隊のタリエラ報道官は「違法な主張を通すための中国の戦略だ」と指摘した。

 これに対し中国外務省は、合法な「パトロールと法執行活動」を行っているとして、「非難されるものではない」と反論した。

 海警5901は昨年7月、同じく比EEZ内に位置する南シナ海南沙諸島のサビナ礁にも出現し、フィリピン側が強く反発していた。【バンコク石山絵歩】

毎日新聞

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