コロナ下の生活資金特例貸付制度、返済免除が5683億円に 全体の4割

2025/01/15 06:01 

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 新型コロナウイルスの感染拡大で収入が減った世帯に国が無利子で生活資金を貸す特例貸付制度で、回収できない返済免除額が約5683億円に上っていることが、厚生労働省の集計で明らかになった。貸付総額約1兆4431億円の約4割を占める。厚労省幹部によると、返済免除額は最終的に5割程度に膨らむ可能性があるという。

 制度は困窮者の自立支援も併せて実施する「生活福祉資金貸付制度」の特例として始まり、一時的な生活維持に使える「緊急小口資金」と、日常的な生活費に充てられる「総合支援資金」があり、1世帯当たり最大200万円を借りることができた。迅速な貸し付けに向けて面談や自立支援計画を不要とし、申請書類の簡素化も図った。貸付総額はリーマン・ショック時の約20倍に膨れ上がった。

 コロナの感染が拡大していた2020年3月~22年9月に、計約1兆4431億円(約382万件)を貸し付けた。23年1月から返済が始まったが、住民税非課税世帯は返済免除の対象。それ以外でも返済猶予を申請し、返済の見込みがなければ免除される。

 会計検査院の調査では、昨年3月末時点の返済免除額は約4685億円に上っていたが、昨年9月末時点の集計で約5683億円に膨らんでいる。厚労省は詳しい内訳を公表していないが、これから返済を迎える人もおり、返済免除額はさらに増える見通しだ。【肥沼直寛】

毎日新聞

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