イスラエル首相「追求の価値ある」 トランプ氏「ガザ所有」発言巡り

2025/02/05 16:32 

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 トランプ米大統領は4日、ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談した。トランプ氏は会談後の共同記者会見で、パレスチナ自治区ガザ地区について、米国が「長期的に所有」する意向を表明した。イスラエル軍による攻撃などで倒壊した建物や不発弾を撤去し、経済開発を進めるという。

 トランプ氏が戦後復興の私案を示した格好だが、パレスチナ人のガザからの移住を前提としており、アラブ社会から強い反発を招くのは必至だ。

 ロイター通信によると、イスラム組織ハマスの幹部はトランプ氏の構想について「ばかげている。この種の考えは地域に問題を引き起こす」と反対した。ハマスとイスラエルは1月19日に始まった一時停戦の延長を議論しているが、交渉に影響を与える可能性もある。

 トランプ氏が2期目の就任後に外国首脳と対面で会談するのは初めて。トランプ氏はこれに先立ち、会談の冒頭で記者団に、ガザで多数の建物が破壊された現状を強調。「ガザの人々は美しい土地を手に入れるべきだ」として、住民がエジプトやヨルダンなどに「恒久的」に再定住することが適切だとの考えを示した。

 トランプ氏は会見で、ガザの開発が雇用を創出し、中東の安定につながると意義を強調。ガザが地中海に面した立地であることから、イタリアとフランスにまたがる地中海の景勝地を引き合いに、「ガザの潜在能力は高い。中東のリビエラになる可能性がある」などと述べた。

 またガザの再建に向けた米軍の派遣について否定しなかった。イスラエルとパレスチナの「2国家解決」の原則を放棄するのかと問われた際には、「人々に生きる機会を与えたいだけだ」などと述べて明言を避けた。

 ネタニヤフ氏は、トランプ氏の「ガザ所有案」に関して、「歴史を変え得るもので、追求する価値はある」と述べた。

 ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘を巡っては、バイデン政権(当時)とトランプ氏側が仲介で協力し、1月19日に「3段階」からなる停戦合意が発効した。現在は6週間を期限とする一時的な停戦と、ハマスが拘束する人質の解放などが進む。残る生存中の人質の解放や、恒久的な停戦に向けたイスラエル軍のガザからの完全撤退を含む「第2段階」に進めるかが焦点となっている。

 トランプ氏は会見で、停戦に関し、「どうなるか分からないが、継続されることを望む」と述べた。

 ただ、ネタニヤフ氏はこれまで「戦闘再開」の可能性に言及してきた。戦闘再開を主張する閣内の極右勢力の更なる離脱を防ぐ目的があるとの指摘がある。米ニュースサイト「アクシオス」は、ネタニヤフ氏がトランプ氏に対して、「第2段階」の実施を強制しないよう説得する意向だと報じていた。【ワシントン松井聡、カイロ金子淳】

毎日新聞

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