マスク氏の歳出削減で納税者に「配当金」? トランプ氏も意欲

2025/02/21 11:46 

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 トランプ米大統領が「政府効率化省(DOGE=ドージ)」主導の歳出削減で浮いた公金の20%を納税者に還元する案を打ち出した。ソーシャルメディアでは「DOGE配当金」が話題になっており、人気取りには格好のバラマキ施策だが、トランプ氏が懸念する物価高(インフレ)を助長するリスクを抱えている。

 「アイデアは気に入っている。無駄や不正を追及して、20%の配当金を出す。すばらしい」。トランプ氏は19日、大統領専用機内で記者団にこう語った。

 DOGE配当金のアイデアは、投資家の男性がX(ツイッター)でDOGEを率いる実業家のイーロン・マスク氏に投げかけたのをきっかけに話題になった。マスク氏は「大統領に聞いてみよう」と応答。その後にトランプ氏が「20%の配当金」の構想を語った。

 ミラー大統領次席補佐官は20日の記者会見で「節約した公金は、納税者に還付したり、(連邦政府の)債務返済に充てたりできる。残りは翌年度に繰り越せる」と説明。「DOGE配当金」の構想は、予算編成権を持つ連邦議会での審議で議論されるとの見通しを示した。

 ただ、ジョンソン下院議長は20日の保守系団体のイベントで「政治的には良いアイデアだが、財政規律という保守の原則の観点から言えば、(配当より)債務返済に充てるべきだ」と慎重論を唱えた。

 配当が実現した場合の具体的な金額は不明だが、マスク氏が当初の目標にしていた「2兆ドル削減」に基づいて、1世帯当たり約5000ドル(約75万円)が支払われるとの試算も出ている。DOGEは、事業の打ち切り、契約の見直し、遊休資産の処分などによって、これまでに「550億ドルを節約した」としているが、目標にはほど遠い。

 マスク氏自身も2024年11月に目標額を5000億ドルに引き下げた経緯があり、実現しても配当金は「期待値」を大きく下回る可能性がある。【ワシントン秋山信一】

毎日新聞

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