AP通信、「アメリカ湾」無理強いに反発し提訴 取材規制撤回を要求

2025/02/22 10:17 

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 AP通信は21日、トランプ政権がメキシコ湾を「アメリカ湾」と改称する方針に従わないことを理由にホワイトハウスでの取材を規制したのは違憲だとして、ワイルズ大統領首席補佐官らに規制撤回を求める訴えを連邦地裁に起こした。トランプ大統領は「APは間違いだらけ」と攻撃を強めており、一方的な地名変更は「言論の自由」を巡る法廷闘争に発展した。

 トランプ氏はメキシコ湾は「ずっと米国の不可分な一部だった」として大統領令で「アメリカ湾」への変更を指示し、内務省も正式に改称を発表した。IT大手グーグルの地図サービスも、米国からアクセスすると「アメリカ湾」と表記される。

 ただ、国際的にはメキシコ湾が定着しており、国際的通信社であるAPも「すべての人が容易に認識できるようにする必要がある」として表記を変更していない。

 APは訴状で「米国の報道機関や全国民は、自分自身の言葉を選ぶ権利がある。憲法は政府が言論を規制することを許していない。規制や報復を許せば、全ての米国民の自由に対する脅威となる」と主張した。

 訴状によると、ホワイトハウスは2月11日、報道各社を代表する取材団の一員だったAPの記者に「『アメリカ湾』と表記しなければ、ホワイトハウスの一定の区域に入ることを禁止する」と通告した。代表取材団は大統領に同行し、各社に取材内容を共有する役割があるが、APの記者だけは大統領執務室や大統領専用機に入ることを禁止された。

 APが文法や表記などをまとめた「スタイルブック」は、他の報道機関だけでなく、企業や教育機関でも基準として参照されている。訴状によると、ワイルズ氏はAPへのメールで、取材規制の理由としてスタイルブックの影響力を挙げた。【ワシントン秋山信一】

毎日新聞

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