「私たちの国も試合も奪えない」 NHL優勝のカナダ首相、米を挑発

2025/02/22 10:24 

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 「私たちの国を奪うことはできない。私たちの試合も奪うことはできない」――。カナダのトルドー首相は20日夜、北米プロアイスホッケーNHLの4カ国対抗で米国を降して優勝した自国のチームをたたえ、X(ツイッター)に投稿した。関税導入やカナダの「併合」に言及するトランプ米大統領の挑発がもたらす政治的緊張により、スポーツでもカナダの愛国心が高まっている。

 20日に行われた試合は延長戦の末、カナダが3―2で米国を降した。

 トランプ氏は21日、米保守系FOXニュースラジオでカナダに祝意を示した上で、「ジャスティン(・トルドー氏)はいいやつだけど、負け犬だ」と反撃した。試合前には、ソーシャルメディアで米国チームへ激励の電話をかけたことを報告し、カナダについて「いつか、もしかすると近いうちに我々の重要な51番目の州になるだろう」と投稿。さらにトルドー氏の肩書を「首相」ではなく「州知事」と表記した。

 強豪の米・カナダ両国は氷上の友好的なライバル関係にあった。だがトランプ氏の就任後、スタジアムの雰囲気に変化が生じている。

 米東部ボストンで行われた決勝では、カナダ人歌手シャンタル・クレビアジックさんがカナダ国歌を斉唱した際、「我らすべてに流れる真の愛国心」という歌詞の一部を「我ら『のみ』に流れる」と変えた。カナダ公共放送(CBC)が歌手側に確認したところ、トランプ政権への抗議を示す意図があったと認めたという。

 クレビアジックさんは、インスタグラムに「我々は立ち上がり、声を上げて自らを守らなければならない。権力の乱用には怒りを表明すべきだ」と投稿。試合後には「正義は勝つ」と書き込んだ。

 地元メディアによると、カナダで行われた別の試合では米国歌斉唱時にブーイングが起きたという。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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